クラシコ惨敗のバルサ、構造的な問題を抱えているにもかかわらず、シャビだけが袋叩きに遭う現状【現地発コラム】

2024年01月24日 エル・パイス紙

マドリーの攻撃陣に好き放題に振り回された

クラシコに惨敗し、批判にさらされたシャビ監督。(C)Getty Images

 スーペル・コパ・デ・エスパーニャ決勝での痛恨の敗戦は、バルセロナに直ちに影響をもたらすものとはならないだろう。宿敵のレアル・マドリー相手に1-4で敗れた後であっても、だ。

 ジョアン・ラポルタ会長は2021年5月、復任して間がない頃、自らがトップを務める間は、過渡期のシーズンは存在せず、結果が伴わない場合は、責任を問うと明言した。しかしモンジュイックへの一時的な移転で非常に微妙な状況に直面しているクラブのガバナンスが困難に陥らない限り、シャビを続投させる意向だ。

 目標はシーズンが進むにつれて、下方修正されており、当面はコパ・デル・レイのラウンド8とチャンピオンズリーグのラウンド16を突破すること、そして来シーズンのCLの出場権を確保することが最優先になる。
 
 裏を返せば、その場凌ぎの対応で軌道修正を図りながら日々生き延びることで精一杯だ。そして夏が来れば、補強戦略を見直し、シャビの去就も重要なテーマの一つになる。デコSDは、「シャビは(ラポルタ)会長とスポーツ部門の信頼を得ている。敗戦は辛く、議論の余地はあるが、それで何かが変わるわけではない」と擁護するが、その方針は数か月後に変わっているかもしれない。

 シウタ・エスポルティバ・ジョアン・ガンペール(練習場)の関係者は問題点を指摘する。

「何か月にもわたって失ってきたものを1試合で取り戻そうとしても、それは不可能だ。問題は一時的なものではなく、構造的なものだ。我々はこの1年の間に何が変わったのかという問いに答える義務がある。昨シーズン、ラ・リーガとスーペルコパの2冠を達成したチームとの違いをね」

 シャビは、マドリー戦でゲームプランを間違えた。ジョアン・フェリックスをスタメンから外して中盤にMF4枚を並べるシステムは、マドリーを大きくし、バルサを小さくした。高いディフェンスラインの設定、統制の取れないオフサイドライン、プレッシングの意思統一のなさ、スペースをケアしないGK(イニャキ・ペニャ)といった戦術的欠陥が重なり、スピードとアグレッシブさが持ち味のマドリーの攻撃陣に好き放題に振り回された。

 背後のスペースを再三突いたヴィニシウス・ジュニオールには、ハットトリックを許した。バルサのプレスは、連動性もコンパクトさも欠け、マドリーが攻撃を仕掛けるたびに、ラインが分断された。シャビはバルサの小ささに似つかわしくない壮大なサッカーをしようとしたとして非難を浴びた。
【動画】ヴィニシウスがクラシコで圧巻のハットトリック

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