【移籍専門記者】異色の大型CFペッレが恩師コンテの誘いでチェルシーへ?

2016年03月14日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

イタリアへのノスタルジーにかられているが……。

今シーズンは中盤戦から得点が止まっていたペッレだが、3月12日のストーク戦では2ゴールの活躍。価値を証明した。(C)Getty Images

 サウサンプトンに所属するアッズーリのCFグラツィアーノ・ペッレは、国外でキャリアを築いて代表の座を勝ち取ったという、イタリアでは極めて珍しいプレーヤーである。
 
 レッチェの下部組織で育つもセリエAでは芽が出ず、2007年に22歳でイタリアを後にして以来、オランダ(AZ)で4年、イタリアに1年だけ帰ってきたもののすぐにオランダに戻り今度はフェイエノールトで2年、そこからイングランドに渡ってサウサンプトンで今シーズンが2年目と、イタリア人選手としては珍しい「国外組」のベテランなのだ。
 
 ここ4シーズンはオランダとイングランドの国内リーグで計119試合・70得点と台頭し、イングランドでは「イタリアン・ゴールマシン」の異名を取る人気ぶりだ。
 
 しかし、30歳を迎えてそろそろ母国にノスタルジーを感じ始めているようだ。最近はサウサンプトンが提示する好条件の契約延長オファーを断り続けており、この冬には中国からの年俸600万ユーロ(約7億4000万円)というビッグオファーにすら「NO」の返事を返した。
 
 現行契約は2017年6月までのため、今夏に新天地を求めることはほぼ間違いない。では行く先はどこなのだろうか? ノスタルジーにかられているイタリアへの帰還がひとつの選択肢であることは間違いない。
 
 しかし、アントニオ・コンテの新監督就任が内定しているチェルシーという可能性にも注意する必要がある。イタリアではまったく実績のない「国外組」のペッレをイタリア代表に招集してCFのレギュラーに据えたのは、誰あろうコンテだから
 
移籍専門記者によるチェルシーの強化部門診断「ディレクターのマリーナ女史はタフな交渉相手として評判」
 
 今夏のチェルシーはジエゴ・コスタを放出し、新たなCFを獲得しようと目論んでいる。エースとして狙うのはゴンサロ・イグアイン(ナポリ)やエディンソン・カバーニ(パリSG)、マウロ・イカルディ(インテル)などで、彼らより実力的にワンランク落ちるペッレはバックアッパーとして迎え入れられるかもしれない。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事