【千葉】Jリーグへと順応する“ドイツ帰り”の長澤。開幕3戦で見せた底知れないポテンシャルとは?

2016年03月14日 本田健介(サッカーダイジェスト)

初先発となった横浜FC戦で指揮官が賞賛するパフォーマンスを披露。

開幕3戦で実力を見せた長澤。千葉の中心選手になりつつある。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 J2・3節で、ホームに横浜FCを迎えた千葉は前半、相手の堅い守備を崩せずに苦戦を強いられた。前節は岡山に競り負けており、連敗は避けたいなか、後半に流れを変えたのが千葉への加入後、初先発を果たした長澤だった。
 
「後半はスペースが空いてきたし、自分たちも相手のプレッシャーに慣れてきたので、そういう意味でパスが回せたと思います。自分はこれまでサイドのポジションでやってきた選手ではないので(千葉では主にボックス型の4-4-2の左MFを務める)、中に入っていけば相手はマークしづらいと思いましたし、攻撃のところで顔を出していけばチャンスが広がると考えました」
 
 その言葉通り後半の長澤は自由にポジションを変え、周囲とパスを交換しながら、鋭いドリブルで切り込んでいく。50分にはボランチの山本とのワンツーで左サイドを華麗に突破してクロスを供給すると、53分には正確なグラウンダーのクロスを船山に通して山本のミドルへとつなげた。56分には右サイドからPA内に侵入し、あわやPKかと思われるシーンを作る。
 
 前半は隙を見せなかった横浜FCの守備に狂いを生じさせた質の高いプレーの数々。最終的には65分に右SBの多々良のクロスを船山が豪快なボレーで叩き込み、千葉が勝利を収めたが、勝点3へのプロセスを作ったのは他の誰でもない背番号10を背負う男だった。
 
「時間とともにフィットしてきたなと。今日の後半の出来は非常に良かったです。前半はボールタッチが少なかったが、後半は彼らしいプレーを見せてくれた。チームとしての動きというか狙いが彼のタイミングと合ってきたのかなと思います」
 
 試合後、関塚監督も長澤の活躍ぶりに頬を緩める。
 
 専修大卒業後にドイツのケルンに入団し、約2年異国の地で研鑽を積んできた。そして今オフ、出場機会を求めて浦和への移籍を決断し、1年のレンタル移籍で地元のクラブである千葉へと加入した。
 
 2013年の専修大在籍時には横浜の特別指定選手になったが、リーグ戦の出場はなし。プロとしてJのピッチを踏むのは今季が初となる。ドイツと日本では「各選手の身体の大きさや、特長、攻撃や守備のやり方など、ほぼすべてのことが違う」というギャップがあったというが、開幕戦では途中交代からロスタイムに劇的な決勝ゴールを決めると、続く岡山戦でも65分から出場してネットを揺らした。
 
 そしてこの2試合の結果を評価され、横浜FC戦では初の先発の座を勝ち取り、チームの勝利に貢献してみせた。
 
 長澤は今、「慣れてきている部分はある」という日本のピッチで底知れないポテンシャルを発揮しようとしている。開幕3戦のようなパフォーマンスを続けていけば、目標にする日本代表への道も自ずと見えてくるだろう。Jクラブを経由せずにドイツへ渡った俊英の開花の時は近いのかもしれない。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
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