三笘、南野、中村にない絶対的な武器。W杯経験者として自覚を強める前田大然は目をギラつかせる「短時間でも見せないといけない」【アジア杯】

2024年01月21日 元川悦子

イラク戦の後、改めて強調

爆発的なスピードが売りの前田。献身的なディフェンスでも貢献する。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

 1月19日のイラク戦を1-2で落とし、アジアカップでD組の首位通過を逃した日本代表。24日のインドネシア戦で引き分け以上だと2位通過が決まるが、31日のラウンド16の相手はE組1位。その行方を大きく左右する20日の韓国対ヨルダン戦は2-2のドロー決着となった。

 2戦終了時点で両者ともに勝点4だが、ヨルダンが得失点差でトップに立っており、韓国は2位という状況だ。つまり、日本の相手はE組の最終節が行なわれる25日まで決まらないということになる。グループ3位のバーレーンも首位突破の可能性を残す。

 どのチームが来てもいいように、まずは確実にインドネシアから勝点3を奪って、チーム状態を引き上げておくことが肝要だ。

 そのためにも、ここまで出場時間の少ない選手たちがチームを活性化する必要がある。過去のアジアカップを見ても、グループ3戦目は控え組と言われるメンバーが出てきて奮闘。決勝トーナメントに向けて選手層に厚みを加えてきた。

 今回はまだグループ突破が決まっていないため、森保一監督もそこまで大胆なターンオーバーはできないかもしれない。ただ、出ずっぱりの南野拓実(モナコ)や遠藤航(リバプール)、イエローカードをもらっている伊東純也(スタッド・ドゥ・ランス)や菅原由勢(AZ)らは先を見据えて休ませておきたい。今こそ総合力で勝ち切ることが大事なのだ。

 イラク戦の74分から今大会初出場した前田大然(セルティック)も出番を待ちわびる1人。2023年3月の第二次森保ジャパン発足後はジョーカー的な位置づけが続き、10・11月シリーズは負傷で回避したが、ご存じの通り、2022年カタール・ワールドカップではドイツ、スペイン、クロアチアの3試合に先発。クロアチア戦では先制弾も叩き出すという傑出した実績を残している。それを忘れてはならない。
 
「2~3回、怪我で代表活動をスキップしちゃったので悔しい思いはありますし、何とかチームに貢献したいって気持ちで大会に入りました。なので、イラク戦で最悪、同点にするという仕事ができなくて残念。

 入る時は結構、背後にスペースがあるかなと思っていたけど、相手に引かれてしまったので難しい展開になってしまった。(83分のファーから飛び込んだ)ヘディングシュートの場面もちょっと中に入るのが遅かったですね」と、本人も不完全燃焼感を吐露している。

 カタールW杯までは最前線の守備のスイッチ役として重用されたが、今のチームでは左サイドが主戦場。昨季のセルティックでコーチのハリー・キューウェル(現横浜監督)から仕掛けや局面打開を直々に指導され、オン・ザ・ボールでも迫力を出せるようになったことが大きいだろう。

 ブレンダン・ロジャーズ監督体制に移行した今季は、右サイドでの起用がメインだが、本人としては「代表でも自分から仕掛けてチャンスを作れる」という意欲を高めているはずだ。

「チームと代表では難しい部分もありますけど、自分の良さはスピードの部分。そこを出していけたらいいと思います」と前田はイラク戦の後、改めて強調していた。

【PHOTO】日の丸を掲げて選手たちに気持ちを送る日本代表サポーター!

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