【川崎】2009年以来の首位浮上にも、大久保は攻撃面の課題を指摘。「フロンターレは1年が終わるとやってきたことを忘れてしまう」

2016年03月13日 本田健介(サッカーダイジェスト)

大久保は佐藤のJ1最多得点に並ぶも…。

貴重な同点ゴールを挙げた大久保。逆転勝利に貢献したが、攻撃面の課題を語った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト 写真部)

 名古屋をホームに迎えた1stステージの3節、1-2と逆転された状況で、75分に値千金の同点ゴールを決めたのは、やはり頼れるエースだった。

【J1 PHOTOハイライト】1stステージ・3節 川崎 3-2 名古屋
 
 前節、広島の佐藤が更新したJ1最多158ゴールに並ぶ一撃、そして84分の中村の決勝弾につながる貴重な1点。しかし、劇的な逆転勝利にも試合後の大久保の表情は晴れなかった。
 
「まだまだ攻撃に問題があると思います。今日の名古屋が相手ならば、もっと点を取れたはず。今年は攻撃のクオリティが低くて、つなぎは上手いんですが、危険なところにパスを出せていない。縦に出してくれれば良いんだけど、サイドに行っちゃったりする。やっていて凄く難しい。だから今日も強い口調でみんなに言いましたけど……」
 
 チームは開幕3戦を2勝1分で終え、2009年以来の首位に立った。しかし、エースは全体の出来をまだまだと評す。
 
「フロンターレは1年が終わるとやってきたことをリセットして忘れてしまう。早く目を覚ましてほしい。悪いながら勝てているのは自信にして良いので、今日の試合をキッカケにもっとやってほしい」
 
 例えば、大久保がゴールを奪ったシーンでも"ズレ"はあったという。「(マークに付いていた安田と)駆け引きをして、先に入ってやろうと。(スペースは)もちろんわざと空けていた」という大久保は、中村がゴールラインギリギリから挙げたクロスに身体ごと突っ込んで頭で決めたが、アシストした中村は「(クロスの前の)中野のパスが長かった。本当は右足でダイレクトで上げたかったのに。でも良い意味でフェイントになった」と振り返る。
 
 大久保、中村のホットラインは昨季通り、固くつながっているが、全体の意思疎通に微妙な隔たりがある。それが今の川崎の状態なのだろう。名古屋戦でもパスはつながるものの、相手にシュート数で上回られるなど、フィニッシュに持ち込めるシーンはやや少なかったように映る。
 
 中村も大久保の言葉には同調する。
 
「負けてもおかしくない試合だった。(前節の)湘南戦と同じ展開。もっとギリギリのところまで攻めないと。今日のような(相手の)プレッシャーのなかでできないのはダメ。課題は多い。プレーの質を高めないといけない」
 
 例年にない好スタートを切った川崎だが、まだまだ問題は山積しているようだ。大久保、中村が納得のできる勝利を掴むには、どれ程時間がかかるのか。「優勝するためにはやっていかないといけない」(大久保)という攻撃面の強化が、今後どのような実を結ぶのか、興味深く見ていきたい。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
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