「GKは50%、頭の中で決まる」プロ1年目のオランダで正守護神を張る19歳・長田澪は“地獄のゲーム”からいかに這い上がったのか。気になるメンタルトレの一端を明かす【現地発】

2024年01月16日 中田徹

「プロ1年目でチームを降格させちゃいけませんよね」

オランダで武者修行中の長田。19歳にしてフォレンダムの第1GKを務める。(C)Getty Images

 昨年末、日本代表の千葉合宿を見学に訪れた長田澪(フォレンダム)に冗談を飛ばす菅原由勢(AZ)とのやり取りが、『TeamCam』(日本サッカー協会のYouTubeコンテンツ)内で紹介された。

 プロ1年目にしてオランダリーグでフル出場を続ける19歳のGKは、U-20ドイツ代表に選ばれている逸材だ。かつてU-15日本代表でプレーしたことからも分かるように、日本サッカー協会も彼の所属先であるブレーメンに足を運んでチェックしていた。

「協会の人がフランクな方で『日本に今いるんだったら見学においでよ』と誘ってくれたんです。森保一監督とは練習中でしたので少しだけ話をしました」

 国際マッチウイークにはU-20ドイツ代表の一員として、欧州内の強国を相手にプレーする長田。しかし現在はフォレンダムを1部残留させることが最優先だ。

「プロ1年目でチームを降格させちゃいけませんよね」

 ウインターブレイク明けの初戦、対アルメレ・シティ戦に0-1で敗れたフォレンダムは、17位から最下位に順位を落としてしまった。

「でも、まだ今年最初の1試合に負けただけ。チームはトルコ・ベレクでとても良い冬合宿をしたんです。絶対にチームを2部に落としませんよ」

 オランダリーグは折返しの17節を終えた。「『成長しているな』というのが俺の中であります」と長田は言った。

「今日練習した成果は次の日に出ることはなく、それを実感するまですごく待たないといけないじゃないですか。その成果を数か月経った今、実感しているんです」

 それは主にメンタル面での向上だ。プロとして1年目、オランダリーグという未知の舞台――。デビュー当初は何もかもが初めてで、他のことを考える余裕もなくプレーしたことが功を奏した。しかし、やがてその日々に慣れてくると、試合へのメンタルの持って行き方を自ら作っていかなければならない。

 
 11月5日、NECとのアウェーゲームは、長田にとってメンタル改善に本腰を入れるきっかけになった。

 開始6分に自身のミスキックから小川航基に先制弾を許したものの、チームメイトの頑張りでフォレンダムは2-1、3-2と二度リードする。しかし粘るNECはラストプレーとなるCKからまたしても小川がゴールを決めて、土壇場で3-3に追いついた。

「あの『地獄の試合』からはもうダメだった。『次もこういう試合をしたらどうしよう』と思うことが増えると、良いプレーができなくなってしまった」

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