攻撃以上に難しさがあった守備。ベトナムの例外的な仕組みに、日本は前からハメに行く枚数が足りず、セットプレーの落とし穴にはまる【アジア杯】

2024年01月15日 河治良幸

伊東純也が試合後に指摘

セットプレーから2失点の日本。一時は逆転を許し、苦しい戦いを強いられた。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

[アジア杯GS第1節]日本 4-2 ベトナム/1月14日/アルトゥマーマ・スタジアム

 色々な意味で、アジアカップ初戦の難しさが出た試合だった。

 アジアの戦いというと、一般的には引いた相手をどう崩すか、カウンターからの少ないピンチをどう防ぐかといったことがテーマになるが、少なくともフィリップ・トルシエ監督が率いるベトナムに関して、それはあまり当てはまらない。

 守備は5バックで構えて、マイボールにすると自陣で回してくるのがベトナムの基本形だったが、割と高いラインを敷いてきて、日本はその土俵に乗ってしまった形だ。

 中盤からの配給も足もとに付けるパスが多く、サイドチェンジや背後を狙う攻撃から相手の守備を後手に回すという意図があまり見られず、そこからじわじわ攻め込むにしても、ベトナムの守備陣形があまり崩れないまま押し込んでしまう状況になった。

 結果的には、引いた相手に苦しむ状況とあまり変わらなくなってしまったことだ。伊東純也が試合後に指摘したように、ハイラインの5バックに対して、もっとセンターバックからサイドの伊東や中村敬斗に振ってワイドに揺さぶるとか、細谷真大にクサビを入れるだけでなく、背後を狙ってベトナムのバックラインを下げさせながら、間延びを突いてフィニッシュに持ち込むといった形は、前半からできたのではないか。

 その攻撃以上に難しさが出たのは守備だ。ベトナムは3-4-2-1というシステムにはなるが、自陣のポゼッションに5枚、6枚が関わり、上手くアタッカーが前を向くとドリブルで来るという、アジアでもオーソドックスではない仕組みがとられていた。
 
 それにより日本も前からハメに行く枚数が足りずに、後ろに人が余ってしまう。前回のアジアカップ決勝のカタール戦を少し思わせるような状況が続いてしまった。

 ただ、自陣の対応に関してはセットプレーから2失点してしまったが、そこまで流れから危険になるシーンは無かった。だからこそセットプレーに落とし穴があるとも言える。

 1失点目に繋がったCKは、相手のスローインからワンツーでボックスに入ろうとするグエン・ディン・バックに板倉滉が押された流れでボールがラインを割った結果だった。

 2失点目に繋がった遠目のFKは、クリアボールのこぼれ球に反応して飛び出すグエン・ディン・バックを菅原由勢が外側から倒してしまったが、センターバックの谷口彰悟が余っており、菅原がそこで慌ててタックルに行かなくても、十分に防げるシチュエーションでのファウルだった。

 ベトナムも平均身長は高くないが、FKにファーで合わせた184センチのブイ・ホアン・ヴィエット・アインのように、何人かは高さのある選手がいる。

【PHOTO】日本代表のベトナム戦出場16選手&監督の採点・寸評。4発勝利も6人に5点台の厳しい評価。MOMは2G1Aの8番

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