アンチェロッティに逃げられたブラジル代表の新監督は、かつてネイマールとひと悶着あった61歳。セレソンはどうなるか?【現地発】

2024年01月17日 沢田啓明

アンチェロッティとの合意はやはり「口約束」でしか…

セレソンの新監督に指名されたドリバウ・ジュニオール。かつてひと悶着あったネイマールとの関係にも注目だ。 (C)Getty Images

 年末年始、混迷するブラジル・フットボールに激震が走った。
 
 2023年3月に行なわれたCBF(ブラジルサッカー連盟)の会長選挙で不正があったとして、12月7日、リオ地方裁判所がエジナウド・ロドリゲス会長に職務停止命令を下した。
 
 しかし、「スポーツ団体の運営に司法が介入するのは不適切」と判断した最高裁が年明けの1月4日、ロドリゲスを会長に復帰させる。すると翌5日、会長はセレソンのフェルナンド・ジニス暫定監督(フルミネンセ監督を兼任)を解任。6日にはサンパウロFCを率いていたドリバウ・ジュニオールを新監督に指名したのである。
 
 前任のジニスは、最後尾からショートパスをつなぎ、アタッキングサード侵入後は即興的なパス交換を駆使して相手ゴールを陥れようとする超攻撃的スタイルの信奉者で、昨年はフルミネンセをコパ・リベルタドーレス初制覇に導いた。
 
 しかし、この戦術をチームに植え付けるには時間がかかる。クラブと代表の監督を兼任していたことに加え、ネイマール、ヴィニシウス・ジュニオールら主力に故障が続出した影響もあり、2026年ワールドカップ南米予選は6節(全18節)を終えた時点で2勝1分け3敗。参加10か国中の6位に沈んでいた。
 
 そもそもCBFは、「カルロ・アンチェロッティ(レアル・マドリー監督)が24年6月に監督に就任する」と発表していた。しかし昨年末、アンチェロッティはR・マドリーとの契約を延長。懸念されていた通り「CBFとの合意」は単なる「口約束」でしかなかったようだ。要するに、逃げられてしまった。
 
 セレソンの新監督に指名された61歳のドリバウ・ジュニオールは、攻守のバランスを重んじる堅実派だ。国内ビッグクラブの監督を歴任し、コパ・リベルタドーレスを一度、コパ・ド・ブラジルを3度制覇した実績を有している。
 
 2010年、サントスの監督時代に当時18歳のネイマールとひと悶着あった。ブラジル全国リーグの試合でネイマールがPKを蹴ろうとした際に、別の選手をキッカーに指名。不満を露わにしたネイマールと口論になった一件である。この出来事が発端となり、ほどなくサントスの監督を退任している。
 
 現在、左膝に重症を負って療養中のネイマールは、24年6月頃に復帰予定。そのエースとの関係も注目される。
 
文●沢田啓明
 
【著者プロフィール】
1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。 

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