［高校選手権 決勝］青森山田（青森）３－１ 近江（滋賀）／１月８日／国立

　近江を大躍進に導いた指揮官は、試合後には報道陣も魅了した。

　第102回高校サッカー選手権の決勝で、近江は青森山田と対戦。０－１で迎えた47分に山本諒の右足弾で追いついたが、60分に勝ち越されると、70分の失点で突き放され、１－３で敗れた。

　頂点にはわずかに届かなかったものの、これまで選手権では２回戦進出が最高成績だった近江が準優勝を果たした。その戦いぶりは、インパクト十分なものだった。

　初戦で日大藤沢（神奈川）、３回戦で明秀日立（茨城）をPK戦の末に下すと、準々決勝では神村学園（鹿児島）に４－３、準決勝では堀越（東京A）に３－１で勝利した。

　鮮やかなコンビネーションによる多彩な攻撃で大会を大いに盛り上げた一方、前田高孝監督のユニークな人柄も注目を集めた。準決勝後の記者会見では、夜を徹して相手を分析していたこともあり、「途中ぐらいから夢なのか現実なのか分からへん状態で、夢ならそのまま入っていこうと思って。よく分からん状態です」と話し、報道陣の笑いを誘っていた。

　また決勝後の記者会見では、青森山田の分析、近江の成長への喜び、大会運営者への感謝などを真面目に語る一方、ユーモアも交えていく。
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　自分たちのチームが最終的にどうなったかを問われると、ポジションにとらわれない選手による変幻自在な攻撃にかけてか「カオスになりましたね、ピッチの上で（笑）」と破顔一笑する。

　また、近江の話題性が際立っていたという話を振られると、「話題だけですか（笑）」とツッコむ。自身の国立競技場付近にあるラーメン屋に行きたいという趣旨の発言が取り上げられた報道を振り返り、「すげえこと言われるな、と思って。書かれるんかこれ、と思っていたんですけど」と笑う。

　さらに、試合の準備への忙しさを、こう表現した。

「中１日なんですよ。結構、忙しくて。本当に助けられたなあというのが、ブラックサンダー、コーヒー、レッドブル。この"三種の神器"で、僕は乗り切りました（笑）。これを注入して、ずーっとやってたんですよ。無敵なんですよ。眠たくならへん（笑）」

　クラウドファンディングの額が1000万円を突破したと聞かされると、「ありがたいですよ、めちゃくちゃ。ありがとうございます。返礼品が（滋賀県のキャラクターである）ひこにゃんに、近江のユニホームを着てるのなんで。結構、良いと思います」とPRした。

　敗戦後らしからぬ前田監督の明るい言動に、記者会見場は笑いに包まれた。

取材・文●野口一郎（サッカーダイジェストWeb編集部）

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