なぜ近江は脅威の波状攻撃を繰り出せるのか? 前への推進力を支える頭脳派MF川上隼輔の献身「ボールがないところでの準備が大事」【選手権】

2024年01月07日 安藤隆人

相変わらずの黒子ぶりを存分に発揮

攻守の要として奮戦する川上。クレバーな振る舞いが快進撃を続けるチームを下支えする。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

[高校選手権 準決勝]近江(滋賀) 3-1 堀越(東京A)/1月6日/国立

 創部8年目、3度目の選手権で初の決勝進出。快進撃が止まらない近江のサッカーは【3-4-2-1】の布陣から、最前線のFW小山真尋をターゲットにしつつ、後ろからのビルドアップで次々と前の選手を追い越していく徹底した前への推進力が魅力だ。

 今大会では、神出鬼没のDF金山耀太やアタッキングエリアに入り込んでいくMF鵜戸瑛士、MF浅井晴孔らの攻撃センスに注目が集まっているが、彼らが前へ積極的に仕掛けられるのは、ダブルボランチの存在が大きい。

 今回は、そのダブルボランチでMF西飛勇吾とダブルボランチを組む、MF川上隼輔にスポットライトを当てたい。

 西はどちらかというと攻撃センスがあり、金山が上がっていく際には常に近いポジションを取るために一緒に上がっていく。そうなると後ろの枚数が少なくなってしまうが、そこで機転を利かせてスペースを埋めているのが川上だ。
 
 金山は自分のタイミングで上がっていくが、その上がりにアンテナを張って、スッと後方のスペースに入ってサポートし、相手のカウンターの際にはすぐに潰しに行けるように中間ポジションを取る。

 さらに相手ボールになった際に前に出てプレスに行くのか、リトリートしてプレスバックや、時にはディフェンスラインに入って相手FWへのパスを遮断するなど、頭脳的な判断が光る。近江の波状攻撃は、川上のクレバーなポジショニングと献身的なプレーに支えられている。

 堀越との準決勝では、金山が左のウイングバックに回り、3バックの左にはMF廣瀬脩斗が入った。金山がよりアグレッシブに仕掛け、さらに中央に潜り込んでいくプレーをするなかで、川上は後ろが3枚しっかりと揃っている分、いつもより左サイドのケアを意識していた。

 西のポジションが中央なら、金山のサポートでペナルティエリア近くまで前に出て、西が左にスライドしたら、スッとアンカーのポジションに戻ってカウンターをケアしたり、バックパスを受けたりと、相変わらずの黒子ぶりを存分に発揮していた。

【厳選ショット】鵜戸瑛士!山門立侑!金山耀太!3発快勝で初の決勝進出!|選手権準決勝 近江3-1堀越

次ページ「なるべく2人を前に行かせるように」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事