「田舎の子たちは遠征がなかったり…」東京の雄に敗れた今治東、監督が地方の難しさを語る「なかなか間に合わない部分も」【選手権】

2023年12月30日 有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

「『ともに全力で』はまさにうちの今年のチーム」

堀越に敗れ、悔しさを滲ませる今治東の選手たち。谷監督は「これを経験にしてもらいたい」と願う。写真:福冨倖希

[高校選手権1回戦]今治東(愛媛)0-2 堀越(東京A)/12月29日/駒沢

 2年ぶり3回目の選手権出場を果たした今治東は12月29日、激戦区の東京を勝ち抜いた堀越と初戦で対戦。退場者を出した後半に連続失点し、0-2で涙をのんだ。

 谷謙吾監督は試合後、開始早々の安部日々輝の負傷交代を含めたアクシデントを悔やみ、こう振り返った。

「怪我と退場でアクシデントが2回起こると、プランが色々変わってしまう。よく頑張っていたとは思うけど、もうちょっと前半、フリーの状況などで落ち着ければ良かった。こういう経験のなかで、もう少し落ち着いてプレーできると勝負になったかなと。ただ堀越さんは切り替えが早いし、10番の大荒(陽平)に上手く対応していたと思うので、試合の流れからしたら、うちとしては精いっぱいだと思います」

 数多の強豪が鎬を削る東京と比べ、愛媛では高校の数が限られる。指揮官は地方特有の難しさにも触れたうえで、今後のレベルアップを誓った。
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「去年からメンバーが大幅に変わって、高3の子がBチームにいる頃にもうちょっと鍛えられるチャンスがあれば...。田舎の子たちなので、若い学年から色んなところで積み重ねていかないと、なかなか間に合わない部分もあるんですね。

 たとえば遠征がなかったりするので、鍛える時間がちょっと少なくて、可哀そうだったかな。でもその割には、この短いスパンでよく頑張ったと思います。僕としては間に合ってないというよりも、逆に、想像以上に間に合わせてくれたほうが強いですね。

 よくここまで来たと思います。だけど、このレベルで勝っていくには、色んなものが身についてこないといけないし、強さも見せていかないといけない。そう簡単には、全国でイニシアチブを取れない。(ベスト16まで進んだ)98回大会ぐらいのポテンシャルがないと、なかなか難しい。でも、よく粘り強くやったと思います。アクシデント、計算外が多かったので、まあしゃあないかな。これを経験にしてもらいたい」

 そして「応援や高3の子もほとんど引退せずに、最後までやってきたことを、後輩がちゃんと受けて、上級生の気持ちを受け継いで、頑張ってやってきたから今、同級生と下級生の力がぐっと1つになった。(選手権のテーマ)『ともに全力で』はまさにうちの今年のチーム」と胸を張った柔和な56歳は最後に、「また頑張ります!」と力強く語った。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

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