ミランとサンパウロのOBが一堂に会し、「30年ぶりのトヨタカップ」が実現!頭髪が薄くなり、恰幅が良くなった者も少なくないなか、あのMFは…【現地発】

2023年12月29日 沢田啓明

後半開始すぐに最も美しいゴールが!

サンパウロ対ミランの一戦が実現。両チームのOBが一堂に会した。 (C)Getty Images

「30年の歳月を経ても、彼らの輝きは損なわれていない」
 
 そのことをつくづく感じさせられた夜だった。
 
 2023年12月16日、サンパウロ対ACミランの試合がサンパウロの本拠地モルンビー・スタジアムで行なわれた。ただし、ピッチに立ったのはいずれのチームも現在のメンバーではない。1993年に東京の国立競技場で行なわれたトヨタカップ(サンパウロが3-2で勝利し、二連覇を達成)に出場した選手数人を含めたOBだった。
 
 約3万人のサンパウリーノ(サンパウロ・ファン)で埋まったスタンドは、家族連れの中高年が多い。
 
 上下ともに白を纏ったMFのライー、シャツが赤でパンツが黒というミランカラーに身を包んだCBコスタクルタの両キャプテンを先頭に選手たちが入場すると、ファンは総立ちになり、大歓声で迎えた。
 
 サンパウロからはMFカカ、右SBカフー、GKゼッチらが、ミランからはMFセードルフ、CBコスタクルタ、GKジッダらが出場。ミランで活躍した経歴を持つカカとカフーは、後半からロッソネーロ(赤と黒=ミランの愛称)のユニホームを着てプレーした。
 
 頭髪がすっかり薄くなり、あるいは白くなっている選手が大半だ。恰幅が良くなった者も少なくない。見た目があまり変わっていないライーはいわば例外だ。

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 13分、カカが放った右からの美しいクロスをミランの守護神ジダが弾き、そのこぼれ球に反応したMFバウベールが押し込んでサンパウロが先制する。しかし21分、ミランもセードルフからの見事なスルーパスを受けたCFリカルド・オリベイラが左足で強烈に蹴り込み同点に追いつく。
 
 ハーフタイムを挟み、後半が始まってすぐだった。この試合で最も美しいゴールが生まれる。サンパウロのFWドドが、ゴール前でアモローゾにボールを預けると、アモローゾが華麗な右足のヒールパスでコースを変える。背後に走り込んでいたドドにこれがピタリと合い、ゴールが生まれた。
 
 その後、サンパウロがさらに2点を追加し、終わってみれば4-1の快勝だった。
 
 もちろん、結果はさして重要ではない。50代から60代前半となった当時の名手たちが一堂に会し、笑顔で交歓し、美しいフットボールを披露する。スタジアムに訪れたファンにとっては、最高の思い出になっただろう。
 
 ただ、ファン以上にこの試合を存分に楽しんだのは、他でもない両軍の選手たちだったに違いない。
 
文●沢田啓明
 
【著者プロフィール】
1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。 

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