【甲府】異例の抜擢! 東京五輪世代の18歳新鋭FWが早くもリーグ戦デビュー!!

2016年03月07日 渡辺 功

甲府の高卒ルーキーが開幕ベンチ入りしたのは12年ぶりのこと。

G大阪戦の76分に途中出場した森晃太。兄は名古屋の勇人で、兄弟Jリーガーとなった。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 長沢駿のヘディングが決勝点となり、G大阪が甲府を相手に今シーズン公式戦初勝利。強い向かい風を計算に入れたかのような曲線の正確なクロスで、貴重なゴールをアシストしたのは、G大阪ユース出身の18歳ルーキー初瀬亮だった。
 
 この場面をベンチで見ながら、沸々と闘志を燃やしていたのが、同じくこちらも18歳、今年の甲府唯一のルーキー森晃太だった。
 
「プレミアリーグで対戦して、どういう選手なのかは知っていましたけど。いきなりアシストして。スゴイなと思いましたし、自分も結果を残してやろうという気になりました」
 
 2歳上の兄・勇人(名古屋)のあとを追うように、小学校入学前から名古屋のスクールに入団。以来、名古屋の下部組織一筋で育ち、小6の時には同級生の杉森考起(名古屋)との二枚看板で、名古屋U-12の全日本少年サッカー大会初優勝の原動力に。名古屋U-18が準優勝した去年のJユース選手権では、5ゴールを挙げ得点王に輝いた経歴の持ち主だ。
 
 子どもの頃からの夢だった名古屋のトップ昇格は叶わなかったが、本人のプロ志望は強く、甲府の練習に参加。非凡なボールコントロールや突破力が認められ、青色のユニホームに袖を通すこととなった。
 
 キャンプからシャドーストライカーの位置でアピールを続けると、吉野峻光、河本明人ら、同じポジションを争う先輩たちに競り勝つ形で、開幕の神戸戦でもベンチ入り。出場こそなかったが、これは甲府のチーム事情からすると、異例なことだった。
 
 そもそも獲得する新人は、即戦力を期待しての大卒選手が中心。超高校級と呼ばれるような選手の獲得は難しく、無名の原石をある程度叩き上げたうえで、プロの水に慣れた頃初めてベンチ入りするのが通例であるからだ。
 
 また、甲府に限らず、毎年のように残留争いをしているチームになると、どうしても首脳陣は、好不調の波が大きく起用してみないと分からない若手より、どのくらいの働きをしてくれるのか計算が立つベテラン選手を重用しがちになる。甲府の高卒ルーキーが開幕戦でベンチ入りしたのは、韮崎高出身の千野俊樹以来、じつに12年ぶりのことだった。
 

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