大久保哲哉、43歳。県リーグでも変わらぬ衝動、ゴールの喜び。「一生続けられたら、こんなに幸せなことはない」

2023年12月25日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

“ジャンボ”の愛称で親しまれる190センチのストライカー

現在は神奈川県リーグのFIFTY CLUBでプレーする大久保。43歳になった今もゴールへの意欲を燃やし続ける。(C)SOCCER DIGEST

 歳を重ねていけば、さすがに気持ちも落ち着いていくだろうな。ゴールを決めても、そんなに大喜びできないでしょ。

 逆だった。「むしろ上がってきているというか(笑)」と、大久保哲哉は相好を崩す。

 今年、43歳。現在は神奈川県社会人リーグ1部のFIFTY CLUBに所属するバリバリの現役プレーヤーだ。

 駒沢大を卒業後の2003年に、横浜FCでプロキャリアをスタート。05年にJFLの佐川急便東京SCに移籍し、2年目には26ゴールを挙げて得点王に。翌年以降は柏、福岡、山形、横浜FC、栃木、横浜FC、群馬と渡り歩き、19年からFIFTY CLUBに籍を置く。

 J通算412試合・99得点を記録。県リーグでも得点王に輝くなど、相変わらずゴールを決めまくっている。44歳を迎える来年も現役続行の意向だ。

 19年にA級ライセンスを取得しているように、指導者に興味がないわけではない。でも、まだスパイクを脱ぐつもりはない。「自分がサッカーをし続けることで、逆に伝えられることもあると思う」からだ。

 何よりもゴールに飢えている。まだまだ飽き足らない。とにかく点を取りたいのだ。12月23日に岩本輝雄氏が手がける『左利きの会』のイベントが開催され、"右利き"だが大久保も登場。レフティばかりの参加者のクロスに、得意のヘッドで合わせて豪快にゴールネットを揺らす姿が印象的だった。

 イベント後に、選手であり続ける原動力を訊けば、"ジャンボ"の愛称で親しまれる190センチのストライカーは、サッカーへの情熱やプレーする喜びを口にし、こう続けた。

「点を取った時の感情はまったく衰えないですし、これほど気分的に盛り上がるものはないので。今もそこを追い続けています」
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 カテゴリーは県リーグ。Jリーグとは環境も観衆の数も違うが、それでモチベーションが落ちるようなことはない。

「ゴールした時のあの感じ、喜びはJリーグの時とまったく変わりません。その思いを一回でも多く味わいたいというか、その気持ちだけでやっていると言っても過言ではない。点を取って試合に勝った後の爽快感も、本当に変わらないんですよ」

 横浜FC時代には、三浦知良と2トップを組んだ経験もある。「あの頃はまだ2人でキックオフするじゃないですか。一緒にセンターサークルに行くんですけど...凄いことですよね」と大久保も改めて感じ入る。56歳となってもポルトガルに活躍の場を求める日本サッカー界のレジェンドが、かつての相棒だったのだ。

 練習生にも「俺のプレーどうだった?」と意見を求めるなど、どこまでもサッカー小僧のカズ。そんな"キング"を間近で見てきて、大久保も感化された部分はあるのだろう。自分がゴールを決めて、試合に勝つ。「言い過ぎかもしれないですけど、それを一生続けられたら、こんなに幸せなことはないかな」としみじみと語る。

 イベントに参加した子どもに優しく話しかけ、楽しそうにボールを蹴る。大久保もまたサッカー小僧であり、生粋の点取り屋として、これからも貪欲にゴールを追い求める。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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