キャプテン森田晃樹の戦う姿に強く感銘。東京V内定の食野壮磨が目ざす「チームのために本気になれる選手」

2023年12月16日 安藤隆人

J1昇格POで大きな刺激を受ける

京産大のキャプテンを務める食野。「関西王者としてのプライド」を胸に、インカレで頂点を目ざす。写真:安藤隆人

 インカレ準々決勝。関西王者である京都産業大は、九州王者の福岡大と対戦し、前半に2点のリードを奪ったが、後半開始早々に1人退場し、10人での戦いを強いられた。

 前線に高さとパワーのある選手を揃え、縦に速いサッカーで猛攻に出た福岡大に対し、京産大は身体を張った守備を見せる。後半アディショナルタイムに1点を返されたが、2-1で逃げ切り、準決勝進出を決めた。

「10人になって厳しい戦いになりましたが、関西のリーグ戦でも守備の時間が長い試合もあったので、あまりナーバスにならないで、ゴールキーパーの山本透衣(FC大阪内定)を中心に守り切れたと思います」

 試合後、キャプテンであり、チームの攻撃の中枢を担うMF食野壮磨はこう試合を振り返った。前半は先手必勝とばかりに攻勢に出たチームにおいて、食野はトップ下の位置からボールを集約して、テンポの良いパス出しとラストパスを駆使してリズムメークし、2点のリードを奪うことに成功した。

 後半は10人になったことで【4-2-3-1】から【4-4-1】に変更。飯野は左ボランチになったことで、「持ち場で穴を開けない、プラス攻撃に少しでも行けるようにボールを運んだり、時間を作ったりすることを意識しました」。

 守備とボールを奪った後に必ずサポートに入ってパスを受け、ドリブルで前に運んだり、キープしてラインアップを促したりと、チームのために身体を張ったプレーを披露。苦しむチームの中でGK山本と共に、プロ内定選手としてチームを支え続けた。

「2年前に出場した時より、注目度、期待度も全然違いますね」

 こう笑ったように、京産大は2021年度大会に関西第2代表で出場し、食野もレギュラーとしてプレーしたが、2回戦で関東第6代表の筑波大の前に0-3と完敗を喫した。
 
 だが、今年は関西王者として出場し、自身を始め、5人のJ内定選手を揃える注目チームとして出場。簡単には負けられない強い思いがあった。

「関西王者としてのプライドもありますし、やっぱり僕はこのチームのために戦って、タイトルを取りたいと思っているんです。チームのために本気になれる選手がいないと、絶対に結果が出ないことを改めて教えてもらったので」

 大会前、食野はJ1昇格プレーオフを通じて大きな刺激をもらっていた。来季から加入することになっている東京ヴェルディはJ2リーグで3位。準決勝でジェフユナイテッド千葉を下し、決勝まで勝ち進んだ。

 そして清水エスパルスとの国立決戦。土壇場で追いついてのドロー決着でJ1昇格を決めた試合を、食野はテレビで見ていた。

 画面から伝わってきたのは、選手たちの勝利に対する凄まじい執念だった。なかでもキャプテンの森田晃樹の姿には、心を揺さぶられるものがあった。

「全員から戦う姿勢がヒシヒシと伝わってきましたし、技術のある上手い選手たちが必死で戦ってこそ、望むべき結果を掴み取れるのだと教えてもらいました。

 特に森田選手はずば抜けたテクニックとサッカーセンスに溢れた選手で、その選手があそこまで身体を張って守備をしたり、ボール際に競りに行くプレーを必死でやったりしているからこそ、周りの選手は信頼するし、触発されて戦う姿勢をさらに前面に出す。

 最初にPKを与えてしまった後も、『森田選手のために取り返す』という雰囲気になりましたし、最後にPKを獲得できたのも、森田選手の勝ちたいという執念と信頼関係があったからこそだと思います」

【PHOTO】16年ぶりのJ1昇格!国立で選手を後押しし続けた東京ヴェルディサポーターを特集!(Part1)

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