平畠啓史セレクト! J1年間“至極の11人”|人の心を動かした齊藤は堂々の存在感。奈良竜樹は頼りになる“漢”感が充満していた

2023年12月08日 平畠啓史

突然の背番号「1」継承式は胸熱

平畠氏がセレクトした2023シーズンのJ1年間ベストイレブン。MVPはM・サヴィオだ。(C)SOCCER DIGEST

 今回は、先日の「Jリーグアウォーズ」で発表されたJ1ベストイレブンに選ばれなかった選手で、ベストイレブンを選ぶというもの。数字や順位にあまりとらわれ過ぎることなく、2023シーズンの中で印象に残った選手をピックアップしていきたい。

 GKは広島の大迫敬介。安定感は年々増している印象で、チーム全体に安心感を与えている。ホーム最終戦での林卓人引退セレモニー中、突然の林からの背番号「1」継承式は胸熱だった。

 ディフェンスの右には神戸の山川哲史。左には本多勇喜。都合上、右に配置した山川だが、今シーズンのセンターバックでのパフォーマンスは見事だった。少し出場できない期間もあったが、大きなミスもなく、慌てることもなく、落ち着いた守備対応。最終局面ではシュートコースに立ちはだかり、身体を張って失点を防いだ。

 本多はセンターバックにサイドバックと、ディフェンスラインの選手が揃わない時でも、どのポジションでも完璧に役割を果たした。見事優勝を掴み取ったル神戸だが、タイトル獲得に本多は不可欠だった。

 センターバックは名古屋の中谷進之介と福岡の奈良竜樹。最終戦こそ出場はなかった中谷だが、33試合フルタイム出場。3バックの中央でラインを統率しながら、対人でも素晴らしい対応を見せ、好フィードからカウンターの出発点にもなっていた。
 
 頼りになる"漢"感が充満していたのは奈良。以前は、勝ちたいという心が身体の動きを上回るようなところも見られたが、今シーズンは心技体が高いレベルで合致しているように見えた。福岡がルヴァンカップを制覇し、リーグ7位フィニッシュで終えられたのは奈良の進化と無縁ではないだろう。

 ボランチは横浜の渡辺皓太。タフに走り続け、攻守両面で多くのプレーに関与。球際の強度もあり、ボールを受ければ球離れ良くリズムを作っていく。Jリーグの中でも最高のボランチの一人だ。

 もう一人は神戸の齊藤未月。新加入にもかかわらず、周りに個性の強い選手が多いにもかかわらず、中盤で堂々の存在感。ボール奪取や機を見ての攻撃参加も見事。大怪我をして出場できなくなってしまったが、22試合に出場し、神戸の優勝に大きく貢献した。

 神戸に関わる人だけでなく、湘南もG大阪も「未月とトモニ」とエールを送ったのは、彼のプレーに勇気をもらった人が多かったことも含め、人間性、パーソナリティが人の心を動かしている証拠。ゆっくりとじっくりと治療に専念してほしい。斎藤がピッチに帰ってくる日を、みんなとトモニ待ちたいと思う。

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