【なでしこ】ヒロインになり損ねるも前を向く岩渕。「この勝点1を無駄にしない!」

2016年03月03日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「自分が入って絶対に点を取ってやろうと思っていた」(岩渕)。

攻めながらもゴールを取れない状況にベンチでもどかしさを感じていた岩渕は、「自分が入って絶対に点を取ってやろう」と思っていたという。 (C)Getty Images

 まさかの引き分けに終わった韓国戦後、ミックスゾーンでテレビのインタビューを待つ岩渕真奈は、キャプテンの宮間あやと抱き合いながら、やりきれない悔しさを滲ませていた。その姿は涙こそなかったが、ショックの大きさを物語っていた気がする。
 
 日本はオーストラリア戦の反省を活かし、序盤から積極的に敵陣でプレー。左サイドの横山久美を中心に韓国の守備を崩し、何度も決定機を作った。それでも、なかなかゴールを割れず、岩渕はもどかしさを感じながらベンチで戦況を見守っていたという。
 
「私たちにはとにかくゴールだけが必要だった。早い時間に点を取ってほしいなと思って見ていて、正直もどかしさはありました」
 
 出番が回って来たのは59分。佐々木監督から「1.5列目でボールを受けて、どんどん仕掛けろ」と指示を受けてピッチに立った。オーストラリア戦(83分)よりも早い投入で「時間が長くなって、与えられている時間が増えた分、やらなきゃいけないことは多かった」(岩渕)なか、「自分が入って絶対に点を取ってやろう」と思っていたという。
 
 64分にアタッキングサードで相手からボールを奪って左足でシュートを放つなど、ゴールへの意欲を前面に押し出していく。その後チームが韓国に押し込まれる時間が増え、ボールを持つ回数は限られたが、84分に歓喜の瞬間は訪れた。
 
 右サイドから川澄奈穂美がクロスを放つと、ペナルティエリア中央でFW大儀見優季が潰れ役となり、ボールは後ろで隠れるように立っていた岩渕の元へ。相手GKも飛び出してくるなか、頭でコースを変え、ゴールネットを揺らした。
 
「(当たったのは)頭です。(ボールが)超えるかなと思いましたけど、ギミちゃん(大儀見)が前で潰れてくれて。ああいったダサイ形でも、決められて良かったです」

次ページ「欲しい物(勝点3)を手に入れられず悔しいけど、最後は気持ちしかない」(岩渕)。

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