【岩本輝雄】連覇を逃したマリノス、何が足りなかったのか? 頭に浮かんだのは...苦しい時に“違い”をもたらす選手が欲しかった

2023年11月26日 岩本輝雄

完璧には立ち直っていなかったのかな

今季のJ1はヴィッセルが初戴冠。新潟とドローのマリノスは連覇を果たせなかった。写真:鈴木颯太朗

 最終節を残して、今季のJ1王者が決まった。ヴィッセルが初戴冠。シーズンを通して、盤石の強さだったと思う。

 前日に2位マリノスは新潟とドロー決着。結果的に、ここで勝点3を積み上げられなかったから、連覇を逃すことになった。

 新潟戦に関しては、相手がマリノスをよく研究していたと思う。要所をしっかりと押さえて、ピンチの芽を摘んでいく。危ない場面でも、ゴールキーパーの小島がファインセーブを連発。途中出場の三戸は活きが良くて目を引いたね。

 マリノスの攻撃を引っ張る前線の助っ人トリオは不発。ロペスは珍しく存在感をあまり出せなかった。ヤン・マテウスは相変わらずスーパーだったけど、手詰まり感が否めず。それはエウベルも同じだった。彼ら2人を83分まで引っ張った監督の判断にも疑問符。交代がちょっと遅かったんじゃないかな。

 いずれにしても、マリノスはタイトルを掴めなかった。夏過ぎにちょっと失速して、10月に入って復調したかに思えたけど、新潟戦の戦いを見る限り、完璧には立ち直っていなかったのかなという感じかな。

 少なくない怪我人に悩まされて、戦力的に厳しい戦いを強いられた。それを考えれば、優勝を争う位置にいたのは素晴らしいこと。むしろ揺るぎない地力を示したとも言える。
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 それでも、やっぱり物足りなさが拭えなかったのも事実。なんだろう? と考えた時に、頭に浮かんだのが、マルコス・ジュニオールだった。

 たしかに優勝した昨季は、今ひとつのパフォーマンスだった。それでも、ピッチに立てば攻撃に"違い"をもたらす存在だった。

 西村も、ナム・テヒも、馬力があるし、精力的で献身的な良いプレーヤーだ。欠かせない戦力であるのは間違いない。でも、たとえば膠着状態を打破するようなアプローチでは、テクニカルかつトリッキーなマルコス・ジュニオールに分があるような気がする。

 苦しい状況に、違うスイッチを入れて、流れを変える。そんなタイプの選手が今季のマリノスにいたら、また違った結末だったんじゃないかなと思う。

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、51歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた"40メートルFK弾"は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。

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