【岩本輝雄】横浜FCとベルマーレの直接対決は、紙一重の決着。決めるか、決めないか。サッカーってそういうもんだよなって改めて思った

2023年11月25日 岩本輝雄

漠然としているけど、でもそれが真理

ベルマーレが横浜FCに1-0で勝利。J1残留を決めた。写真:福冨倖希

 勝点29で最下位の横浜FCと、勝点31で17位のベルマーレ。残留争いの直接対決は、ベルマーレに軍配。1-0の勝利で残留を決めた。

 ベルマーレは古巣だから、この結果はもちろん嬉しい。ただ、横浜FCも好きなクラブで思い入れもあるから...正直、けっこう複雑かな。

 横浜FCは最下位だし、何が何でも勝利が欲しい試合。ベルマーレは順位が上だから、最悪、引き分けでもオーケー。そうした状況が関係していたのか、ベルマーレのほうがより慎重に戦っていた印象だ。

 前半はスコアレス。後半に入って、さっそく横浜FCにビッグチャンスが訪れる。カプリーニが1対1の場面に持ち込んだけど、シュートはストップされる。ベルマーレが得点したのは、その数分後。ゴール前のこぼれ球を大岩が押し込んだ。
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 サッカーってこういうもんだよな、と改めて思った。チャンスを逃せば、しっぺ返しをくらう。逆に、ピンチのあとにはチャンスがある。不条理とまでは言わないけど、よくあるよね、っていうのは感じた。

 だから、紙一重の勝負だったとは思うよ。両チームともにチャンスはあって、それを決めるか決めないか。今回はベルマーレがそれをモノにしたということ。

 ベルマーレは追加点を奪える場面もあったけど、それは失敗。相手を突き放せなかった。そう考えると、お互いに決定力という部分で課題が見えたし、厳しい言い方だけど、決めるべきところで決めないと、やっぱりこういう順位にいるよね、ということ。

 シーズンを通して、この2チームは特によく見ていたけど、サッカー自体は十分にJ1で通用するレベルだし、どんな相手にも引けを取らない。それでも残留争いをしてしまうのは、突き詰めればフィニッシュに問題があるということ。

 サッカーって結局、そういうもんだよなって。漠然としているけど、でもそれが真理でもあるはず。お客さんもたくさん入って、最高の雰囲気だった三ツ沢で、そんなことをぼんやりと考えていた。

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、51歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた"40メートルFK弾"は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。

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