【U-17日本代表 採点・寸評|スペイン戦】及第点は名和田ら3人。途中出場の高岡は見せ場を作れず厳しい評価に

2023年11月21日 松尾祐希

攻撃時の可変システムがハマる

スペインに無念の敗戦。悲願の8強入りは果たせなかった。写真:佐藤博之

[U-17W杯 ラウンド16]日本 1-2 スペイン/11月20日/Manahan Stadium

 U-17日本代表は現地11月20日、インドネシアで開催されているU-17ワールドカップのラウンド16でスペインと対戦。開始8分に先制を許すも、40分に名和田我空の見事なミドルシュートで同点に追いつく。だが74分に勝ち越し弾を奪われ、1-2で敗れた。

 本稿では、現地の取材記者によるチームや選手、監督の採点・寸評をお届けする。
 
【日本代表・総評】
採点「5.5」
「最初は固めるけど、状況によって前から行く」。森山佳郎監督は試合前から自分たちの状況を踏まえ、スペインに勝つためのプランを準備していた。

 体力勝負になれば、間違いなく不利になる。中2日の連戦が続く日本は、試合が行なわれるスラカルタには前日の夕方に入った。しかも、グループステージでは最終戦まで突破が決まっていなかったため、選手のターンオーバーもほとんどできていない。

 一方で、スペインは休養十分。1、2戦目は相手に退場者が出た影響で数的優位で戦っており、ウズベキスタンとの最終戦は突破が決まっていた状況で主力のほとんど休ませている。日本戦を含め、会場の移動もなし。

 そうした状況を考えて、指揮官は後半勝負と目論むも、ゲームの入りでつまずいた。ポーランドとの初戦、アルゼンチンとの第2戦と同様に押し込まれ、スペインらしい素早いパス回しに翻弄された。ボールを奪えず、ジリジリと最終ラインが下がり、8分に失点。

 ゲームプランは崩れたかに見えたが、粘り強い守備で我慢強く戦う。20分ほど耐えると、日本の時間が訪れる。とりわけハマったのが攻撃時の可変システムだ。左SB小杉啓太がCBにスライドし、右サイドハーフの佐藤龍之介がシャドーに入る陣形でボールを動かすと、右サイドで起点が作れるようになる。

 右SBの柴田翔太郎がウイングバックのポジションに入り、佐藤との連係で深く抉るシーンが増えた。40分には佐藤のパスカットからショートカウンターを仕掛け、柴田からリターンパスを受けた佐藤がゴール前にボールを送る。マイナス方向に送ったパスをFW名和田我空が受け、技ありのシュートをねじ込んで同点に追いついた。
【動画】名和田我空の圧巻ゴラッソ!
 流れは日本――。このままいけば、逆転も不可能ではない。そう思わせたが、日本の時間はここまでだった。ハーフタイム後は相手に主導権を握られ、足が止まった日本は一方的にやられる。攻め込まれ、何度もヒヤリとするシーンを作られた。

 切り札のFW高岡伶颯を61分に投入したが、流れは変わらない。何とか前にボールを運んでも、足が止まった日本の選手はサポートに入れず、決定機を作れなかった。凌いでいたが、74分に一発のスルーパスから被弾した。

 185センチ以上あるFW徳田誉とFW道脇豊を前線に並べ、パワープレーで勝負に出たが、前にボールが入らない。プランを遂行できなかった日本は3大会連続でラウンド16敗退。「疲弊し切ったなかで、相当頑張ったのは間違いない」と森山監督は選手たちを労ったが、またしても強豪国に力の差を見せつけられた。
 

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