独特な感性、自由な発想。堀越の2年生トップ下・仲谷俊は今、楽しみながら全力でプレー「選手権でしっかりとアピールしたい」

2023年11月14日 安藤隆人

大きく目を見開き、とにかく周りを見る

イマジネーション溢れるプレーが魅力の仲谷。正確なキックも大きな武器だ。写真:安藤隆人

「独特」という言葉がぴったりな選手だと感じた。

 東京Bブロック決勝戦、堀越が修徳とのPK戦までもつれ込む激闘を制して、2年ぶり5回目の選手権出場を決めた。この試合で堀越のトップ下でプレーする2年生MF仲谷俊の姿に目を奪われた。

 まず気になったのが試合中の視線の配り方だ。大きく目を見開いて、逆サイドにボールがある時はもちろん、ボールの移動中や同サイドにボールがあっても、とにかく周りを見ている。

 そして鋭い動き出しでパスを呼び込むと、ファーストタッチで正確に足もとや前のスペースに落として、一気に加速していく。ドリブラーかと思いきや、急に止まってパスに切り替えたり、浮き球の空間を使ったパスを駆使したりと、多彩なアイデアで相手の守備ブロックに亀裂を入れた。

 これだけでも独特だと思ったが、上半身を上手く使いながら、かき分けるように相手より前に出たり、背負ってからの反転がスムーズだったりと、身体の使い方、入れ方も独特だった。

 準決勝の日大三戦で無回転FKを直接蹴り込んでヒーローになったように、キックも仲谷の大きな武器。決勝でも高精度のセットプレーを披露し、47分には左からのボールを受けて反転ボレーを放ち、64分にはドリブルから精度の高いラストパスをMF小泉翔汰に送り込み、決定機を演出した。
 
「試合中は『ここチャンスになりそうだな』、『相手のここがウィークだな』とか、『ここはうちのほうがストロングだな』という場所を見ています。遠い場所を先に見ているのですが、遠目を見て無理だったら、近場でパスを繋ぐ。足もととキックの技術には自信があるので、なるべくゴールに近いところを見てから判断するようにしています」

 スペースや味方の位置、相手の位置を見るだけではなく、パワーバランスや感覚を同時にすり合わせながら情報処理をする。彼の独特さはこれがベースとなってプレーに表現されているからこそ感じるものであった。

 仲谷の経歴を振り返ると、そこには紆余曲折があった。小学生の時は川崎フロンターレU-12に所属し、全日本U-12サッカー選手権で日本一に輝いた。しかし、仲谷はベンチ入りこそするが、大会直前に負傷した影響で1試合も出場できず、U-15の昇格も叶わなかった。

 その後はジェフユナイテッド千葉U-15に進むと、左ウイングとして躍動した。「ジェフで相手を見るプレーを磨くことができました」と語るように、FWから左サイドにコンバートしたことで視野の確保がしやすくなり、常に状況を観察し、分析しながらプレーする習慣が身についた。

【厳選ショット】粘り強く戦った堀越がPK戦で勝利し2年ぶりの優勝!|選手権東京都予選Bブロック決勝 修徳1(2PK3)1堀越

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