戦力充実の2列目、「三笘・久保・伊東」は勝負のシリア戦で起用へ。ではミャンマー戦のベストな組み合わせは?

2023年11月14日 元川悦子

予選初戦は毎回のように大苦戦

右サイドで絶大な存在感を放つ伊東。決定力も抜群のアタッカーはやはり外せない。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

 2026年の北中米ワールドカップで悲願のベスト8進出を飛び越え、本気で優勝を狙っている第二次森保ジャパン。その重要な一歩となるW杯アジア2次予選が、いよいよ11月16日のミャンマー戦からスタートする。

 しかしながら、過去を振り返ると、日本代表はW杯予選の初戦で毎回のように大苦戦を強いられているのだ。

 2006年ドイツW杯アジア1次予選のオマーン戦にまず遡ると、後半ロスタイムまで0-0で、久保竜彦のミラクル決勝弾がなかったら白星発信は叶わなかった。

 2014年ブラジルW杯への初陣となったアジア3次予選の北朝鮮戦もまったく同じような展開で、吉田麻也(LAギャラクシー)が奇跡的なロスタイム弾をゲット。薄氷の勝利を飾っている。

 2018年ロシアW杯に至っては、アジア2次予選のシンガポール戦で相手の堅守に苦しめられ、まさかのスコアレスドロー。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が憤りを露わにしたのが印象的だった。

 そして2022年ロシアW杯のアジア2次予選のミャンマー戦も、苦しみ抜いた末に中島翔哉(浦和)と南野拓実(モナコ)が得点。森保一監督も安堵の表情を浮かべていた。

 数々の苦い歴史があるから、指揮官も今回のミャンマー戦を決して軽視していない。2022年5月にはホームで10-0の大勝を収めた相手でも、最大限の警戒を払っていく構えだ。
 
 もっとも、ミャンマー戦に比べれば、21日の第2戦・シリア戦のほうが明らかに難易度が高い。2017年6月に中立地テヘランで対戦した際にも、シリアとはドロー。タフな相手なのは間違いない。

 加えて言うと、北朝鮮&日本との11月2連戦をジッダにとどまって戦うシリアに対し、日本は長距離移動と過密日程を余儀なくされる。主力の大半を占める欧州組の負担は凄まじい。それだけに、可能な限りメンバーを入れ替えて2試合を戦うのが賢明な策と言っていい。

 負傷離脱者が出ているFW、ボランチ、DFに比べると、幸いにして2列目は招集したメンバーがほぼ参戦できている。13日の活動初日から伊東純也(スタッド・ドゥ・ランス)、南野拓実、相馬勇紀(カーザ・ピア)の3人が練習を消化。14日には三笘薫(ブライトン)、久保建英(レアル・ソシエダ)、鎌田大地(ラツィオ)、堂安律(フライブルク)も加わる予定。彼らを上手く組み合わせながら2連勝することは十分可能なはずだ。

 現時点で最強トリオと言える「伊東・久保・三笘」の3人をシリア戦にぶつけたいと森保監督は考えるだろうから、ミャンマー戦は違った陣容になる。そこで、コンディションを重視するなら、「伊東・南野・相馬」をスタメン起用するのがいいだろう。

 彼ら3人はチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグを掛け持ちしている他の4人に比べて疲労度が低く、代表戦でも高い強度のプレーを出せるはず。ミャンマーが人数をかけて引いて守ってくることを考えると、両サイドで幅を取って打開できる伊東と相馬は有効なピースだ。

「相手にブロックを作られて、全員が彼らの前で足もとでプレーしちゃうと、それこそスコアは動かないと思うんで、僕は飛び出しのタイミングや瞬発的な速さという良さを出したい」と、相馬も具体的なイメージを描いている様子だ。

【PHOTO】ついに始まるW杯アジア2次予選、ミャンマー&シリア戦に挑む日本代表招集メンバー26人を一挙紹介!

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