【神戸】浦和に劇的勝利でリーグ初制覇へ王手。大迫勇也、酒井高徳の言葉からも滲み出る戴冠への現実味

2023年11月13日 本田健介(サッカーダイジェスト)

浦和戦は後半アディショナルタイムにドラマが

浦和戦の勝利にも貢献した大迫(写真左)と酒井。試合後にはチームの好調ぶりを語った。(C)SOCCER DIGEST

[J1第32節]浦和 1-2 神戸/11月12日/埼玉スタジアム2002

「チーム全員がハードワークしたご褒美みたいなものじゃないですか」

 決勝弾を挙げた神戸のエース、大迫勇也の言葉が、チームの団結力の高さを物語っていた。

 首位の神戸が、3位・浦和の本拠地・埼スタに乗り込んだ一戦は、事前の予想通り、浦和の組織的な守備を神戸がなかなか崩せず、難しい展開となった。

 神戸と3位の浦和の勝点差は「8」。さらに神戸と2位の横浜との勝点差は「2」。勝って差を開きたい神戸と、優勝へわずかな可能性を残す浦和とのゲームは、激しい攻防となったのだ。

 73分には大迫の折り返しからマテウス・トゥーレルが頭で決めて先制に成功した神戸は、後半アディショナルタイム、90+1分に浦和のホセ・カンテにネットを揺らされる。

 しかし、その5分後、相手のFKから、浦和のGK西川周作が攻め上がっていた裏を、GK前川黛也がフィードで突き、大迫が無人のゴールへ決勝弾を流し込んだ。その後オフサイドか否かVARチェックを受けながら、神戸が大きな勝点3手にしたのだ。
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 冒頭の大迫の言葉通り、試合終了と同時に多くの選手が倒れ込んだ光景は、誰もサボらずに攻守で全員が走り切るサッカーを体現したからこそ。この日は前節に続いて戦術の軸である山口蛍が不在だったが、吉田孝行がチームに落とし込んできた高い守備意識と走力を生かしたサッカーを改めて体現できている点にチームの充実ぶりが窺える。

 さらに光ったのは、クラブの次世代を担う選手たちの躍動である。これまでは、大迫、武藤嘉紀、山口、酒井高徳、扇原貴宏ら経験豊富な30代の選手のチームを引っ張る姿に注目がいきがちだったが、今や佐々木大樹、前川黛也、山川哲史ら神戸で育ったタレントらが欠かせない戦力へと成長している。

 この日は山口に代わってボランチを務め、いぶし銀の働きを見せた酒井も目を細める。

「頼もしいのひと言だと思います。(佐々木)大樹だったり、(前川)黛也だったり、テツ(山川哲史)だったり、自信と自覚を持ってやってくれているのを感じる。

 良い意味で何かを彼らに言うことが少なくなっているし、自信を持って、自分発信でむしろこちらに要求するようなことを言っているので、本当に頼もしいし、それなりの結果とパフォーマンスを出していると思う。

 チームの底上げはずっと言ってきたことで、実際にここまでできるとなれば、リーグでも良い結果を残せると確実に分かってきていると思うので、本当にもっといろんな選手に出てきてほしいですし、彼らにもこれに満足せずにずっとやって欲しいです」

 残り2試合で2位の横浜との勝点差は「2」。次節のホーム最終戦である名古屋戦で神戸が勝利し、横浜が敗れるなど、勝点4以上が開いたその瞬間、悲願が達成される。

 予断は許さないが、チーム全員で良い風に乗っている神戸が、リーグの頂点へまた一歩近づいたと言える。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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