【川崎】心臓が、肺が“痛む”まで走り切った橘田健人。同点弾以上に柏戦で印象的だった倒れ込んだ姿

2023年10月30日 本田健介(サッカーダイジェスト)

クロスに合わせてチームを救うゴールをマーク

貴重な同点ゴールを奪った橘田。数的不利な状況で走り切った。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第31節]柏1-1川崎/10月29日/三協フロンテア柏スタジアム

 試合終了のホイッスルとともに、背番号8は珍しくその場に倒れ込んだ。

 チーム一の運動量を誇る橘田健人でも、後半開始早々から10人での戦いを強いられ、さらにACLのアウェー戦から中4日でのゲームという状況は、苦しいものだったようだ。

 試合後には笑顔を見せたが、「心臓が、肺が痛くてきつかったです」と、試合終了時の様子を振り返る。

 J1の31節としてアウェーで柏と対戦した川崎は、5日前のタイでのパトゥム・ユナイテッド戦(〇4-2)での疲労もあったのだろう、前半からミスが重なり、40分には先制点を奪われた。

 さらに後半早々にはハーフタイムで投入された遠野大弥がコントロールが乱れたボールを回収しようとスライディングをすると、VAR判定を経て危険なプレーと判断され、一発退場。川崎は数的不利な展開を強いられた。

 もっともその苦しい内容からチームを救ったのが橘田だ。70分、右サイドからの山根視来のグラウンダーのクロスを、相手エリア内に走り込みながら上手く合わせ、貴重な同点ゴールを奪ったのである。

【PHOTO】川崎の出場16選手&監督の採点・寸評。後半開始から登場→9分で一発レッドの遠野、失点につながるパスミスの瀬古は悔しいゲームに。橘田、脇坂らはよく走った
 
 最近は強烈なミドルでの得点が続いていたが、この日は、シュート技術の高さを生かして勝点1をもたらしてみせた。

「バフェ(バフェティンビ・ゴミス)が前で(相手を)引っ張ってくれて、クロスを上げるのがミキさん(山根)だったので、来るかなと。しっかりミートできました」と振り返る。

 今季は大卒3年目でキャプテンを任され、調子を崩した時期もあったが、持ち前の守備力を磨きつつ、考えすぎず感覚を大事にするようになったという、得点に関わるプレーでも大きな成長を示している。

 ただし、彼の何よりの真骨頂はチームのために、味方のために走り切れるところだろう。柏戦も息が整い切らないなかでも自陣に戻り、チャンスと見るや前線に飛び出す姿がピッチには何度もあった。

「ひとり少なくなってから追いつけたのは良かったですが、そこまでは内容が良くなかったので、反省しなくてはいけません」

 試合後には課題も口にしたが、走って、守って、得点も奪う、柏戦のプレーは頼れるキャプテンになってきたと感じさせるものだった。そして背中で語る男は、まだまだ進化を果たしそうだ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【厳選ショット】柏、前半にカウンターで先制!後半は数的優位になるも勝ち切れずドロー|J1第31節 柏1-1川崎

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