大岩ジャパンの“10番” 鈴木唯人は虎視眈々。アメリカ戦で求めるのは結果。本来の姿を取り戻したい

2023年10月16日 松尾祐希

「サッカーをやりたい気持ちはある」

エースナンバーを背負う鈴木。アメリカ戦で目に見える結果を残せるか。写真:松尾祐希

 悔しさを味わったパリ五輪世代のエース候補が、虎視眈々と名誉挽回の機会をうかがっている。

 昨年6月のU-23アジアカップから10番を背負う鈴木唯人だが、今年9月のU-23アジアカップ予選でのパフォーマンスは、不甲斐ないものだった。

 デンマークから酷暑のバーレーンに移動して中2日の連戦。コンディションは思うように上がらない。パキスタンとの初戦は、試合前日のトレーニングから参加した影響で途中出場となり、続くパレスチナ戦はスタメンでピッチに立ったものの、身体が思うように動かなかった。

 その結果、予選突破が懸かったバーレーンとの最終戦は再びベンチスタートに。後半途中から出場したが、持ち前の推進力は発揮できずに、最後まで本来の姿は見せられなかった。

「相手に合わせてしまうタイプなんで、そこをどうしようかと考えているんですけど、やるべきことはしっかりやる。もうちょっと正確にプレーして、守備でも走っていきたい」

 バーレーン戦後に改善点を口にしていたなかで、デンマークに戻ってからようやく状態が上がってきた。ブレンビーに加入して1か月強。新たな環境に馴染み、チームメイトにも自身の特徴を理解してもらったことで、持ち味を発揮できるようになった。鈴木も今までにない手応えを感じている。

「単純な話になるけど、自分のチームの人たちは上手い。なので、やりやすい環境だと感じていて、それに慣れてきたのが一番大きいんです。チームに加入した当初よりも、チームメイトが自分の良さを理解してくれています」
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 今年1月から半年間所属し、欧州初挑戦となったストラスブールでは、「戦術は個の部分」と話したように、チームで戦うタスクよりも、単騎で勝負するスキルが求められた。ボールが入ってくる回数も限られており、武器の推進力もなかなか発揮できなかった。

 しかし、デンマークでは違った。チームとして戦うなかで打開力を求められたからだ。「サイズとスピードは日本よりもはるかにありますし、フランスよりもチームでやろうというのがある」と感じ、「慣れるまでには、ちょっとだけ時間がかかりましたけど、ボールを大事にするのでブレンビーに行って良かった」と今では言えるまでになった。

 主なプレーポジションは、最前線やトップ下。指揮官からは攻撃面でフリーマンとしての振る舞いを求められている。

 途中出場が多いが、チームの戦術も徐々に把握し、9月27日に行なわれたカップ戦では先発出場を果たして移籍後初ゴールをマーク。すると、10月1日のビズオウア戦では71分に投入され、初めてリーグ戦でネットを揺らした。

 状態が上がってきたなかで、迎えた今回のアメリカ遠征。現地10月14日に行なわれたメキシコ戦は短い出場時間に終わったが、表情は明るい。

「サッカーをやりたいという気持ちはある。だからこそ、焦らないでチームに戻った時に(直近のゲームで見せたような)パフォーマンスを続けないと意味がない」

 もっとも、代表選手としてピッチに立つ以上は、結果を追い求める。17日に予定されているアメリカ戦。本来の姿を取り戻しつつある10番から目が離せない。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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