10番不在の夜に鮮やかに戻ってきた“元10番”。南野拓実の再浮上で森保ジャパンに生まれた「新たな悩み」

2023年10月14日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

電光石火の先制点に繋がったワンプレー

カタールW杯のクロアチア戦以来の代表戦となった南野。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[国際親善試合]日本 4-1 カナダ/10月13日/デンカビッグスワンスタジアム

 10番不在の夜に"元10番"が鮮やかに戻ってきた。
    
 カナダ、チュニジアと戦う10月シリーズの日本代表は、三笘薫、鎌田大地、前田大然、そして堂安律という常連メンバーがコンディション不良や怪我で招集外となった。

 一方で、南野拓実の復帰も話題を集めた。10番つけて臨んだ昨年10月のカタール・ワールドカップ以降、第二次森保ジャパンでは一度も招集されず。その間、ナンバー10は新たに堂安の手に渡った。

 2年目のモナコで8月のリーグ・アン月間MVPに輝くロケットスタートを切ったものの、9月シリーズでも選外となり、ファンからも招集待望論が出るなか、ようやく声が掛かったのだ。

 チームに合流後、背番号については、「ワールドカップが終わって一度リセットされているし、何とも思わない。律は10番に相応しい選手」と気にしていない様子だったが、招集外には、「悔しかった」という言葉を繰り返し使った。

 満を持して挑むカナダ戦。4-1-4-1の右インサイドハーフとして先発のピッチに立つと、「8番」はいきなりエンジン全開。右サイドで毎熊晟矢から縦パスを受けて、チャンスを作り出す。このワンプレーで一気に日本が畳み掛け、2分に田中碧が決めた電光石火の先制点に繋がった。

【PHOTO】日本代表のカナダ戦出場17選手&監督の採点・寸評。3人が7点台の高評価。MOMは2ゴールの17番
 目を見張ったのが、やはりネガティブトランジション(攻→守の切り替え)の速さとプレスバックだ。日本代表のアタッカー陣は献身的でプレスを怠らない選手がほとんどだが、なかでも前田大然に匹敵する最上級レベルではないか。

 守備での貢献が光ったのは、身体がキレているからこそ。動きの良さは、狭いスペースでボールを受けたり、ペナルティエリア内に入り込む攻撃面でも、もちろん感じられた。

 二度の決定機をモノにできなかったのは残念だったが、ポジションが重なる鎌田とは違う良さを改めて示している。

 1トップに入った浅野拓磨も試合後、「拓実はチームメイトのことを考えて、丁寧なパスを出してくれるし、サポートもしてくれる。すごく助けてくれる」と南野の働きに感謝した。

 これで、日本代表は新たな悩みを抱えることになった。右サイドの久保建英と伊東純也がほとんど同時起用できないのと同様に、森保一監督は鎌田か南野かという選択を迫られる。さらに言えば、10番を受け継いだ堂安の置き所も難しくなってくる。

 来月から始まる2026年ワールドカップのアジア二次予選、そして来年1月のアジアカップに向けて、指揮官の最適解を導く作業はさらに難しくなった。

取材・文●江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

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