【韓国メディアの視点】ACL制覇へファン・ペルシ獲得も画策した全北。FC東京初戦の相手はリーグ随一の戦力

2016年02月17日 慎武宏

威勢のいい声があまり聞こえてこないなか、全北現代のみが大型補強に動く。

昨季のACLでは準々決勝でG大阪に敗れた全北現代。悲願のアジア制覇へ大型補強を断行して挑む。(C) Getty Images

 2月23日からいよいよ開幕するアジア・チャンピオンズリーグ(以下、ACL)。昨季ACLでKリーグ勢は、4クラブがグループリーグを突破したものの、水原三星、FCソウル、城南FCがラウンド16で姿を消し、全北現代も準々決勝敗退で終わってしまった。
 
 今季は、全北現代(リーグ戦1位)、水原三星(リーグ戦2位)、FCソウル(FAカップ優勝)、浦項スティーラーズ(リーグ戦3位/プレーオフを制して本選へ)の4クラブが出場するが、アジア制覇へ威勢のいい声はなかなか聞こえてこない。
 
 ただ、それも仕方ないかもしれない。FCソウルは2011年~13年まで3年連続Kリーグ得点王に輝いたデヤン・ダミヤノヴィッチが中国から戻ってきたが、それ以外で目玉となる補強はなく、水原三星や浦項スティーラーズにも大型補強はなかった。
 
 むしろ水原はサムスン系列とはいえ母体企業が第一企画という広告代理店になったことで予算が縮小し、GKチョン・ソンリョンもJ1の川崎へ放出。浦項は昨季まで指揮したファン・ソンホン監督が退任し、新たにチェ・ジンチョルが指揮官に就いたばかり。水原はソ・ジョンウォン体制4年目で組織力が整い、浦項は新監督を迎えたことでチーム内競争が活発していると聞くが、いずれもACL制覇を易々と口にできる状況ではないのだろう。
 
 そんななかで唯一、ACL制覇を高らかと目標に掲げたのは全北現代だ。先日、全北現代と新たに5年間の再契約を交わしたチェ・ガンヒ監督も「今季はACLとリーグ3連覇が目標だ」と宣言した。
 
 韓国メディアも全北には大きな期待を寄せている。一般紙『中央日報』サッカー班で全北現代を担当するパク・リン記者も語る。
「ACL優勝を目標に今季も母体企業であるヒュンダイ自動車からの巨額の支援の約束を取り付けた全北は、今季も大型補強、それも大量補強を実施した。戦力的にはKリーグで最も充実しています」
 
 元Jリーガーのキム・ボギョン、キム・チャンス、全南ドラゴンズからFWイ・ジョンホとDFイム・ジョンウン、済州ユナイテッドからブラジル人FWロペス、さらには蔚山現代から韓国代表の長身FWキム・シンウクも獲得。この大型補強で、イ・ドングッらを擁する攻撃力はさらに高まり、弱点とされてきた守備的MFにもオーストラリア代表のエリック・パータルを補強したのだから、その戦力の充実ぶりは目を見張るものがある。
「戦力面であえて弱点を挙げればGK。正GKクォン・スンテクの控えが見当たらないくらいでしょう」とパク・リン記者も言う。
 
「実は昨季ACLで優勝を逃した全北は、ACL制覇のためには大物助っ人が必要だとして、ロビン・ファンペルシーとも接触したようです。条件が合わず実現しませんでしたが、それほどまでにACLタイトルを渇望しているということです」
 

次ページACL初戦で激突する全北とFC東京。韓国メディアは日本勢の技術とハ・デソンを警戒。

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