「正直怖かった」福岡の闘将・奈良竜樹が明かしてくれた名古屋との大一番を前に抱えていた葛藤【ルヴァンカップ準決勝第1戦】

2023年10月12日 本田健介(サッカーダイジェスト)

魂のディフェンスでクリーンシートに貢献

福岡の最終ラインを支えた奈良。第1戦の勝利に貢献した。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

[ルヴァンカップ・準決勝第1戦]福岡1-0名古屋/10月11日/ベスト電器スタジアム

 ルヴァンカップの準決勝・第1戦、ホームのベスト電器スタジアムで名古屋と対戦した福岡は前半アディショナルタイムのFW鶴野怜樹のゴールで勝利を手にした。

 この日のヒーローは決勝弾の鶴野で決まりだろう。もっともチーム一丸となって掴んだ大きな勝利において、最終ラインで際立つ存在感を放っていたのが、キャプテンマークを巻いたDF奈良竜樹だった。

 チームは数日前までは、カップ戦2冠の可能性を残していた。しかし、10月8日に川崎の本拠地である等々力陸上競技場で行なわれた天皇杯の準決勝・川崎戦は善戦しながら2-4で敗戦。

 中2日で迎えたルヴァンカップの名古屋戦は、その悔しきゲームからの立て直しが大きなポイントだった。

 そのなかで葛藤を抱えていたのが奈良だ。この闘将にとって川崎は17年のリーグ制覇を経験するなど多くの思い出のあるクラブだ。だからこそ、川崎との準決勝は特別なゲームであったはずだ。しかし、相手のシュートをブロックし切れずにゴールを奪われるなど、辛い敗戦を迎えることになった。

【PHOTO】鶴野怜樹の決勝ゴールを後押ししたアビスパ福岡サポーター!
 
 名古屋戦後、奈良はその心の内を、彼らしい言葉で語ってくれた。

「正直、試合が始まるまで怖くて。この間の試合(川崎戦)のことは、あまり考えないようにしていましたが、僕の足に当たって失点してしまった。その他にもちょっとね...。大舞台での自分の未熟な部分が出てしまったところがあった。

 そこから中2日でまた同じ準決勝という舞台で、すごく怖い部分もあったんですが、(長谷部茂利)監督が、信頼して使ってくれたので、それに応えなくてはいけないと思いましたし、メンバーが変わったなかでもしっかり結果、内容を手にすることで、また良い流れが生まれると考えていました。

 この試合に出たメンバーの想いも無駄にしないためにも、自分がしっかり崩れないように、なんとか奮い立たせて臨みました。そういう気持ちでしたね」

 そう語る奈良の魂のこもったディフェンスの数々は、観る者の心を打つ熱いものがあった。これぞ彼の真骨頂と言えるパフォーマンスだったと言えるだろう。

 もっとも、彼はすでに切り替えている。

「でも2試合合計なので、もう半分しっかり良い準備をして、全員で決勝進出を勝ち取りたい。

 この試合に勝つために全員でやれたので、自分たちの取り組みは間違っていなかったと思いますし、それを続けるだけです。次はアウェーですが強い気持ちで挑みたいです」

 第2戦は10月15日、豊田スタジアムで行なわれる。今大会、これまでのアウェーゴールルールがないなか、福岡が悲願の決勝進出を果たせるのか、奈良のプレーとともに注目だ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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