感動的な決勝弾。福岡・鶴野怜樹のゴールの裏にあった長期離脱中の先輩FWへの心打つメッセージ【ルヴァンカップ準決勝第1戦】

2023年10月12日 本田健介(サッカーダイジェスト)

クラブ史上初の決勝進出へ後押しとなるゴールに

決勝ゴールを挙げた鶴野。試合後には佐藤凌我のユニホームを身に付けた。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

[ルヴァンカップ・準決勝第1戦]福岡1-0名古屋/10月11日/ベスト電器スタジアム

 ルヴァンカップの準決勝・第1戦、ホームのベスト電器スタジアムで、名古屋にまず先勝したのは福岡だった。

 川崎の本拠地である等々力陸上競技場で行なわれた天皇杯の準決勝・川崎戦から中2日。川崎に2-4で敗れた悔しきゲームからの立て直し、そして疲労との戦いのなか、福岡はこれまで出場機会の限られていたフレッシュなメンバーを勝負の一戦へ送り込んだ。

 そんな苦しい台所事情で、前半アディショナルタイムに右の紺野和也からのクロスを頭で叩き込んだのが、大卒ルーキーFWの鶴野怜樹だ。

「(前線で組んだ)ウェリ(ウェリントン)と重なって、正直、ボールをあまり見れていなかったですが、とりあえず頭に当てて、枠に飛べと言う気持ちで」

 まさにチーム全員、そして初の決勝進出を目指すクラブ全体の想いが乗ったゴールだった。

 その後、チームは粘り強い守備で名古屋を抑え切り、1-0で勝利を掴んでみせたのだ。

【PHOTO】鶴野怜樹の決勝ゴールを後押ししたアビスパ福岡サポーター!
 
 そして何より印象的だったのは、鶴野のヒーローインタビューのシーンだ。

 彼が身に付けていたのは「27」のユニホーム。背番号が分かるように前に回し、改めて感謝の想いを口にした。そう、9月に左膝に重傷を負い、長期離脱中の「本当にお世話になっている」という先輩FW佐藤凌我へのメッセージだ。

 この場面の気持ちを改めて試合後に訊いた。

「自分もたくさん怪我してきて、膝の怪我の辛さは分かります。そのなかで凌我くんは強いから、周りに嫌な顔せず、常に笑顔でクラブハウスでもそうやって過ごしている。本当はきついんだろうなと思いますが、本当に凄いなと。改めて強くなっている凌我くんが復帰してきて、また切磋琢磨できればなと思います」

 まさにチーム一丸となって勝ち取った勝利だ。この鶴野のゴールがクラブ史に刻まれるよう、次の名古屋での第2戦、最高の結果を掴むために福岡は臨む。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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