若手たちと寮生活を過ごし、興梠慎三からは称賛の声。浦和デビュー戦でゴールのタイ代表MF23歳のエカニット・パンヤの魅力とは

2023年10月05日 本田健介(サッカーダイジェスト)

憧れは同国の先輩チャナティップ

興梠や早川らに祝福される。素晴らしいデビュー戦となった。写真:鈴木颯太朗

[ACLグループステージ2節]浦和6-0ハノイFC/10月4日/埼玉スタジアム2002

 ACLのグループステージ第2戦、ホームでハノイ(ベトナム)と対戦した浦和は、前半を髙橋利樹らのゴールで3-0で折り返すと、後半も3点を重ね、6-0で勝利。第1戦はアウェーで武漢三鎮(中国)と2-2で引き分けており、通算成績を1勝1分とした。

 前線で相手の脅威となりPKも決めたホセ・カンテ、PKを獲得し3点目もマークした髙橋、積極的に仕掛けCKからヘッドでネットを揺らした関根貴大、前半にPKを冷静に沈めたアレクサンダー・ショルツら、勝利の立役者は数多くいる。

 もっとも今夏にムアントン・ユナイテッドから期限付き移籍で加入し、日本デビュー戦となったこのゲームで、締めの6点目を決めたタイ代表MFエカニット・パンヤが最も印象に残った人も多いのではないか。

 73分にピッチに送り出された23歳は、技術力が高く、練習では攻撃的な様々なポジションで試されたと話すが、この日はトップ下としてチャンスに絡むと、85分に絶好機を得た。

 途中出場の左SB大畑歩夢が果敢なオーバーラップからシュートを放つと、GKが弾いたボールが目の前にこぼれてきたのだ。「冷静に足を振れた」としっかり蹴り込んだボールは、豪快にネットを揺らした。

"ブック"の愛称で親しまれる新戦力は、力を認められ、周囲からも期待されている。

 特に同時出場となったCF興梠慎三の優しさは心に沁みたはずだ。興梠はエカニットに得点を取らせることを意識していたという。

「全部(彼を)探していたら、自分がミスしてしまった(笑)。でもタイから日本に来る選手はチャナティップも、札幌で出ているスパチョークらも、活躍する選手がたくさんいる。そのなかで彼も良い選手で、チャンスがあったら結果を残すだろうなとは感じていたので、個人的に決めてくれたことは嬉しいですね。

 シュート練習をしていてもシュートが上手。だから、シュートチャンスを作ってあげたいという気持ちがあったので、ある程度、僕が落ちて、自分が決めるよりも、パスのほうに回って彼にフリーな状態を作らせてあげたいと思っていました。だから結果としては良かったですよね」

【PHOTO】初出場&初ゴール!タイ代表・浦和レッズのエカニット・パンヤを特集!
 また、ともに寮生活をしているという8月にプロ契約した17歳の早川隼平も、エカニットとの連係面やピッチ外での関係性を語る。

「無理にでも強いパスをつけてくれる。ああいうところはやりやすさを感じますね。初ゴールだったのでみんなで喜べて良かったです。

 ブック自身一番仲が良いのは(堀内)陽太じゃないですかね。でも僕も寮で一緒なので、仲は良いんじゃないかなと思っています」

 本人が理想としているのは、同国の英雄チャナティップ(今年6月に川崎からパトゥム・ユナイテッドへ移籍)だという。

「代表でも一緒にやっている先輩ですが、彼の細かい動きを見て勉強したり、研究したりしています」

 物静かな性格で、「難しいことではないですが、僕はなんでも大丈夫という人なので、練習が終わったらすぐに寮に戻って静かにしていて、時間の流れとともに日本の生活も慣れていくんじゃないかと思います」と話す。

 タイの新たな星が、今後どんなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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