藤枝内定のMF芹生海翔、プロの練習で痛感した守備の重要性。成長を続ける司令塔は鹿児島城西を7年ぶりの選手権出場に導けるか

2023年09月29日 松尾祐希

今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う

鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希

"半端ない"FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。

 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。

 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。

 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨しながら全国舞台に顔を見せていた。しかし、最後に全国大会に出場したのは2016年度の選手権で、以降はライバルの壁を越えられずにいる。

 迎えた今季。同校のOBで2018年から指揮官を務める新田祐輔監督の下で力を付けると、1月の県新人戦で神村学園を2−0で下し、4年ぶり優勝を果たした。2月の九州新人戦でも如何なく力を発揮し、決勝では再び神村学園を撃破。前半に奪った3ゴールを最後まで守り切る完封勝利で、さらなる飛躍を予感させた。
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 夏のインターハイ予選は、0−2で神村学園にリベンジを許したが、決してチーム状況が悪いわけではない。以降もプリンスリーグ九州1部で優勝争いを演じており、9月28日の時点で首位の日章学園と勝点2差の暫定3位に位置する。怪我人を抱えているが、選手権予選には戻ってくる見込みで、万全の状態で最後の大舞台に挑めるのはプラスの材料だ。

 とりわけ、今年のチームは攻撃陣にタレントがおり、得点力は神村学園に引けをとらない。スピードが武器のFW矢吹凪琉(3年)や身体能力が魅力のFW岡留零樹(3年)に加え、U-16日本代表のFW大石脩斗(1年)も台頭。状況に応じて組み合わせを変えられるようになり、"仕掛け"の幅が広がった。

 2列目のMF石内凌雅(3年)も含め、個性的なタレントが織りなす攻撃は十分に全国舞台でも通用するレベルだ。守備陣もCB横山輝人(3年)を中心に安定感が増しており、簡単には崩れない。神村学園の牙城を崩す可能性は決して小さくないだろう。

 期待感が高まるなか、右肩上がりで成長を続けている選手がいる。彼らを操るMF芹生海翔(3年)だ。

 来季からの藤枝への加入が内定している司令塔の主戦場は、ボランチとトップ下。試合展開によってプレーエリアを変えながら、推進力を武器に攻撃を牽引している。身体の使い方が上手く、体勢を崩されても前にボールを運べるタイプでパスセンスも高い。シュートの意識も高く、3列目から飛び出してゴールを奪う術を持ち合わせている点も芹生の魅力だ。
 

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