【ビッグクラブの回顧録】“あの時”のユナイテッドを振り返る vol.7~1996-97シーズン ~

2016年02月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

名実ともに『クラブ史上最高の監督』となったファーガソン。

加入1年目で優れた得点感覚をいかんなく発揮したスールシャール。CLで過去最高のベスト4入りを果たしたチームの飛躍に大きく貢献した。 (C) Getty Images

 前年、若手たちにチームの屋台骨を担わせる大胆な方針を転換し、史上初となる2度目の"ダブル(二冠)"を完遂したユナイテッドは、続く1996-97シーズンも若手改革を続けた。
 
 開幕前には、攻守の要であったスティーブ・ブルース、リー・シャープの2人を放出。入れ替わりで、ヨハン・クライフの息子のジョルディ・クライフ(←バルセロナ)やカレル・ポボルスキ(←スラビア・プラハ)、オレ・グンナー・スールシャール(←モルデ)が加入した。
 
 いずれも20代前半という若き新戦力なかでも、ノルウェーから到来した23歳のスールシャールは、ビッグクラブ初挑戦とは思えないほどの堂々たるプレーを披露。開幕直後にアンディ・コールから定位置を奪取し、エリック・カントナと並ぶ得点源として存在感を放った。
 
 その童顔と得点力の高さから"ベイビーフェイス・アサシン(童顔の殺し屋)"と呼ばれたスールシャールと、すでに不動のレギュラーに成長していたデイビッド・ベッカムらユース育ちの若手たちが見事に噛み合い、ユナイテッドは開幕からリーグの首位戦線をひた走る。
 
 この時、ユナイテッドと覇権を争ったのは、ニューカッスル、アーセナル、リバプールの3チーム。とりわけ、前シーズンに逆転でプレミア制覇の夢を断たれたニューカッスルは、イングランド代表ストライカーでリーグ屈指の点取り屋であったアラン・シアラーをブラックバーンから補強し、ユナイテッドへの雪辱に燃えていた。
 
 しかしそんなライバルをよそに、ユナイテッドは他を寄せつけない安定した戦いで勝利を積み重ね、最終的には2位のニューカッスルに勝点差7をつけて、難なく2年連続4度目のプレミア制覇を成し遂げたのである。
 
 プレミアリーグが産声を上げてから、5シーズンのうち4度も戴冠を果たしたユナイテッドは、絶対王者としての地位を確立し、着任10シーズン目を迎えた指揮官のアレックス・ファーガソンもまた、『クラブ史上最高の監督』の称号を手に入れた。
 
 その一方で、このシーズンの終わりには、チームの中心として活躍し、まさに絶頂期にあった30歳のカントナが突然の引退を発表。圧倒的な存在感でチームを掌握したカリスマの引退を、ユナイテッドのぞみならず多くのフットボールファンが惜しんだ。
 
◎1996-97シーズン成績
リーグ:1位(21勝12分け5敗・76得点44失点)
FAカップ:4回戦敗退(対ウインブルドン)
リーグカップ(コカコーラカップ):4回戦敗退(対レスター)
チャンピオンズ・リーグ:ベスト4(対ドルトムント)
 
チーム内得点ランキング(プレミアリーグ):スールシャール(18点)、カントナ(11点)、ベッカム(8点)、コール(6点)、バット(5点)、ギグス(3点)、スコールズ(3点)、ポボルスキ(3点)、クライフ(3点)、パリスター(3点)、メイ(3点)、キーン(2点)、アーウィン(1点)、G・ネビル(1点)
 
◎主なトランスファー
◇IN
GKファン・デルホーブ(←フィテッセ)
DF ヨンセン(←ベジクタシュ)
DF ブラウン(←ユースから昇格)
MF クライフ(←バルセロナ)
MF ポボルスキ(←スラビア・プラハ)
FW スールシャール(←モルデ)
 
◇OUT
GK コトン(→サンダーランド)
DF ブルース(→バーミンガム)
MF シャープ(→リーズ)
 
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