初の欧州カップ戦で洗礼を受けた三笘薫とブライトン…英国人記者はAEKアテネ戦をどう見た?【現地発】

2023年09月24日 スティーブ・マッケンジー

2度のPKで追いつくも…

AEKアテネ戦に先発した三笘。(C)SOCCER DIGEST

 9月21日に行なわれたヨーロッパリーグのグループステージ第1節、ブライトン対AEKアテネの試合を取材した。

 ブライトンがヨーロッパのコンペティションを戦うのは今回が初めて。クラブにとってもファンにとっても名誉ある夜に違いない。かつては解散寸前まで追い込まれたクラブが、厳しい時期を乗り越え、どこまで成長したかを示す場所だ。

 ブライトンのファンには試合前に応援のためのフラッグが配られ、スタジアム内の雰囲気を盛り上げる。

 しかし、直近のリーグ戦でマンチェスター・ユナイテッドを圧倒した勢いそのままに臨んだ一戦は、プラン通りにはいかなかった。2度のビハインドを2度のPKで追いつくも、終盤の84分に勝ち越しゴールを許して、2-3で敗れた。
【動画】三笘がELデビュー!酷評されたブライトンの失点
 この試合で、バルセロナから加入したアンス・ファティが移籍後初スタメンを飾ったのはひとつの注目ポイントではあったが、期待外れだった。思うように攻撃に絡めず、得意のドリブルで仕掛ける場面も見せられなかった。

 そして、ユナイテッド戦で輝きを放っていた選手たちの多くも、この試合ではベストではなかった。その中には三笘薫も含まれている。この日本人は前半、左サイドでボールを受けて、キレのある突破からクロスを供給したが、相手GKに阻まれた。そして70分過ぎには、ゴールに迫るシュートを放ったが、これもDFにブロックされた。 見せ場は限られ、いつものような存在感を放ったとは言い難い。

 この試合、ブライトンはターンオーバーで多くのメンバーを入れ替えて臨んだ。試合には敗れたが、それでも優秀な選手たちは揃っていると思う。後方からビルドアップしていくサッカーは健在で、この試合でもポゼッション率は75パーセントを超えていた。

 誰が試合に出てもスタイルを貫く。ロベルト・デ・ゼルビの戦術はチームに浸透しているように感じた。

 いきなり欧州カップ戦の洗礼を受けたブライトンだが、これからクラブとしての経験値を高めれば、より成熟したチームになっていくはずだ。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。

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