「歳もくったことだから、上手く促していければ」伊藤翔“だからこそ”できることに専心「なんとしても残らないと、まずは」

2023年09月23日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

小野、俊輔、ボンバーら先達に学ぶ

横浜FCが残留するために。伊藤は自分にできること、やるべきことを全うする。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 3-4-2-1のワントップ、あるいはシャドーが持ち場だ。横浜FCの伊藤翔は、21節の広島戦から先発で出続け、J1残留を目ざすチームで攻守に奮戦している。

 記録的な猛暑が続いた今夏、選手にとっては厳しい環境でも、守備に重きを置くチームの前線で、二度追い、三度追いを厭わない。献身的で精力的なディフェンスも、やたらめったら走り回るわけではなく、ポイントを抑えてアクション。35歳、ベテランの妙だ。

 4-1で完勝した25節・横浜戦では、豪快なボレーシュートを突き刺した。圧巻のゴラッソは「オマケみたいな感じ」と謙虚に振り返る伊藤は、実際のプレー以外でも、チームのために行動する。

「考えるきっかけとかになってくれればいいかな」

 気づいたことがあれば、積極的に言葉をかける。「俺はこう思うけど、そっちはどう?」という感じでコミュニケーションを取る。「歳もくったことだから、ベテランとしては上手く促していければ」と頬を緩める。

 自身が若い頃、感化されたお手本がいた。フランスのグルノーブルから移籍した清水には小野伸二、次に新天地を求めた横浜には中村俊輔、中澤佑二が健在で、その背中を見て、多くを学んだ。

 時が過ぎ、自らに課せられること、やるべきことも変わった。先達の教えを体現し、なおかつプレーで示す。

 横浜FCでも共闘し、現在はコーチとして伊藤と接する俊輔も、後輩の生き様をポジティブに見ている。
【PHOTO】目標達成のために最後まで応援し続ける横浜FCサポーター
「2年前とかは、なかなか試合に出られなくて、山雅にレンタルで行ったりもしたけど、30歳を過ぎて、出られなくなってきた時に一番、人間性が出るというか。そこで頑張って、チームのためにやって、ガムシャラになれるか。

 我慢して、矢印を自分に向けて、死に者狂いでやれれば、またさらに成長する。それが今の翔。そういうことを全うしていれば、レギュラーになってくる。試合に出られるようになったのは、あいつの努力があったから」

 さらに俊輔は、前節に残留を争う柏に手痛い敗戦を喫した後の振る舞いにも言及する。

「この間も負けたけど、選手だけロッカールームに集まってくれと翔が言って、『これからだぞ!』ってチームをまとめていた」

 伊藤翔"だからこそ"できることに専心する。チームの勝利と、仲間たちのために。

「チーム自体は良くなっているから、これをなんとか残留という形に結びつけられるかどうかで、若い選手とか、これからバリバリできる選手たちが、今後のサッカー人生の自信というか、意識やいろんな姿勢が変わってくると思う。ここで踏ん張って、ワンランク上に行けるかどうか。チームとしても、個人としても」

 そのために、身を粉にして戦う。言うべきことは言う。シーズンも最終盤に突入。「なんとしても残らないと、まずは」と伊藤は神妙に語った。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「遠藤よりもひどい」ボールロスト25回のリバプールDFを現地メディアが痛烈批判!「役立たず、かなり悲惨」

「下手すぎやろ 南野に蹴らせろ」首位陥落のモナコ、米代表FWがまさかの2連続PK失敗で怒りの声!2本目は南野拓実が獲得「せっかく取っても報われん」

「『ふざけんなよ!』って思うこともあるだろうけど...」磐田の横内監督が考える森保一の凄さとは? W杯や五輪でコーチとして師事
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事