世界最古の代表戦、“英国ダービー”で絶好調スコットランドが完敗。イングランドはいまやW杯で優勝してもおかしくない【現地発】

2023年09月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

スコットランドは20年以上勝利なし

スコットランドに3-1で勝利したイングランド。(C)Getty Images

 9月12日の夜にイングランド代表対スコットランド代表の"英国ダービー"を取材した。私が生まれてから、両者の対戦は常に前者が優勢だった。

 この対戦カードは世界のサッカー界において、最も歴史のある一戦だ。最初の対戦は1872年にまでさかのぼり、150年目を迎えている。そして選手、ファンの間には大きなライバル関係がある。

 スコットランドはイングランドに対して20年以上、勝利から遠ざかっている。最後に勝ったのは1999年で、現在、イングランドの指揮官を務めるガレス・サウスゲート監督が当時の代表チームの一員だった。

 直近の対戦は2017年の6月。アレックス・オクスレイド=チェンバレンのゴールで先制を許したが、リー・グリフィスが87分と90分に立て続けにネットを揺らして、土壇場で逆転に成功。しかし、後半アディショナルタイムにハリー・ケインに同点弾を奪われて2-2のドロー。イングランド相手にまたしても白星を挙げられず、スコットランドの夢は打ち砕かれた。

 長年、ライバル国に勝てない状況が続いてはいるが、近年のスコットランドは徐々に強化されている。欧州選手権2024予選のグループステージでは、強豪スペイン代表を2-0で破るなど5連勝中だ。
【動画】イングランドが3発快勝の英国ダービー
 ロンドン生まれだが、スコットランドファンである私としては、この勢いのままに約6年ぶりとなる"英国ダービー"に勝利するかもしれないと思い、これまでより気持ちが入った。大学生の息子には「スコットランドがイングランドに勝てるのは、ラグビーではあるかもしれないけど、フットボールではありえないよ」と言われたが…。

 今のスコットランドは伝統的な力強さ、スタミナ、ハードワークという持ち味に加え、ジョン・マギン、ビリー・ギルモア、スコット・マクトミネイの3人が、強固な土台に華を添えている。 

 しかしそんな戦力を持ってしても、圧倒的な強さを見せた相手に1-3で完敗。イングランドはこの試合で、3ゴールすべてに絡んだジュード・ベリンガムや、ダメ押し弾を決めたハリー・ケインだけでなく、どのポジションにも非常に優秀な選手たちを擁しており、いまや欧州選手権やワールドカップで優勝してもおかしくないチームだ。

 それでも今回の試合は、ここ数年のイングランド戦よりは良く見えた。私たちスコットランドファンが、これまでの嫌な記憶を払拭できる日は訪れるのだろうか。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。

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