威力マシマシのパワフル突破に期待。欧州移籍でより逞しくなった小田裕太郎は、アジアの舞台で成長した姿を見せられるか【U-22日本代表】

2023年09月08日 松尾祐希

「ベースが上がったし、意識も変わったと思う」

パレスチナ戦に向け、気合を入れる小田。持ち前の打開力と決定的な仕事に期待だ。写真:松尾祐希

 海を渡って約9か月。今年1月にスコットランドリーグ1部のハーツに移籍したU-22日本代表の小田裕太郎にとって、U-23アジアカップ予選の舞台は成長の跡を示す場となる。

 現地9月6日にパリ五輪を目ざす戦いが、バーレーンで幕を明けた。今予選は来年4月に行なわれるU-23アジアカップの出場権がかかっており、コンペティションの位置付けは来夏のパリ五輪の一次予選となる。

 日本は6日の初戦でパキスタンに6-0で快勝し、幸先の良いスタートを切った。

 一夜明け、7日のトレーニングには前日の試合に先発出場していない組とGK鈴木彩艶(シント=トロイデン)が参加。戦術確認を中心に汗を流し、9日のパレスチナ戦に向けて調整を進めた。

 そのなかで状態の良さをうかがわせたのが、サイドアタッカーの小田だ。センターフォワードにも対応できる汎用性を備える男は、軽快な動きで次戦に向けてアピールを続けている。

 パキスタンとの初戦は77分から途中出場し、4-3-3の右ウイングで、スピードと身体の強さを活かした仕掛けで存在感を発揮。本人も手応えを掴んでおり、充実した表情を見せる。

「残り15分ぐらいからの出場でしたけど、個人としても徐々にチームと合わせていきたいと思う。ただ、昨日の感じだと合わせていける感覚はあった」

 20度前後の過ごしやすい気候のスコットランドでプレーしているため、日中は40度近い気温となるバーレーンの"暑さ"への対応は懸念されていた。合流した当初は難しさを感じていたが、3日目を迎えたことで適応できたという。

「もう(暑さに慣れて)いける感覚がある」

 コンディションが上がってきたことで、持ち前の打開力に一層、期待がかかるのは言うまでもない。欧州に渡ってからはフィジカルの強化を進めており、今まで以上にパワフルな突破ができるようになってきた。自身の成長について、小田はこう話す。
【PHOTO】2023年夏に欧州で新天地を求めたサムライたち
「(ヨーロッパは)サッカーが違う。そこで自分自身の個人の能力というかベースが上がったし、意識も変わったと思う」

 具体的に何が変わったのか。

「(ヨーロッパは)個が一番。身体も違うので考え方が変わった」

 渡航後、自分自身と向き合う時間が増えた。フィジカル面が物足りないと感じ、一から身体作りを見直したという。

「日本にいる時はジムでトレーニングとかあまりやっていなかったけど、スコットランドではジムワークをやるようになり、身体のことを考えるようになった」

 日本でプレーしていた頃は、元々持っていた身体の強さで勝負し、それで勝てていた側面もあった。だが、海外ではそうはいかない。自分よりも強い選手はいくらでもいるし、そのなかで戦うためには、さらなるパワーアップが必要不可欠だった。

 その成果は着実に表われている。フィジカルの強さやスピードに定評がある選手だったが、日本にいる時よりもひと回りほど身体が大きくなった。

「僕の意識が甘かっただけかもしれません。(気がついていれば)神戸の時にやり始めていたかもしれないので...」

 自身の成長を証明するためにも、今回の代表活動では結果が求められる。次なる相手は、最大のライバルと目されていたホスト国のバーレーンを初戦で撃破したパレスチナ。得意のドリブル突破でチャンスに絡み、自らもゴールを決められれば、大岩剛監督からの信頼度も高まる。

 9か月間でどれだけ成長できたかを示したい。小田はチームの勝利に貢献する活躍を誓う。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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