【移籍専門記者コラム】株価急騰中のスリマニ。中国でカネを取るか、欧州でユナイテッドなどの名誉を取るか――

2016年01月20日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

移籍市場での評価額は2年前の5倍以上に。

公式戦通算で18ゴールを挙げている今シーズンの活躍によって、メルカートの人気銘柄となったスリマニ。マンチェスター・ユナイテッドなど欧州だけでなく、中国のクラブからもオファーが届いている。(C)Getty Images

 スポルティングに所属する27歳のアルジェリア代表FW、イスラム・スリマニが今冬のメルカートでにわかに注目を集めている。
 
 スポルティングがこのストライカーの保有権をアルジェリアのベルイーズダットから買い取ったのは2013年。しかし、なかなかブレイクできず、年俸20万ユーロ(約2800万円)という「並の選手」としてポルトガルでキャリアを送っていた。
 
 昨夏にはスポルティングの放出リストに名前が上ったが、売り込みを掛けたクラブ(フィオレンティーナもそのひとつだ)からは断りの返事しか帰ってこなかった。
 
 しかし、ここにきてすべてが変わった。今シーズンは公式戦28試合で18得点と爆発し、年俸が100万ユーロに上がり、さらに移籍市場での評価額も2年前の5倍以上に当たる1300万ユーロ(約18億円)にまで跳ね上がった。

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 今冬はマンチェスター・ユナイテッドをはじめ、複数のメガクラブが獲得に興味を示している。もちろん、中国も黙っていない。ヨーロッパの相場を大きく上回るオファーをスポルティングに提示して、返事を待っている状況だ。
 
 中国のカネを取るか、欧州トップレベルの名声を取るか――。スリマニはいま、大きな人生の岐路に立たされている。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かしてカルチョの世界に広いネットワークを築き、移籍マーケットの専門記者という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。セリエAから下部リーグまで各クラブの会長やスポーツディレクターはもちろん、代理人からスカウトまで膨大な関係者と緊密なネットワークを持ち、しかもしっかり裏が取れるまでは決して情報を出さない。発信するニュースはすべて彼自身のプライドがかかったガチネタであり、ハズレはほぼ皆無と言っても過言ではない。
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