引くな、なでしこジャパン! スウェーデン相手にチームの重心が低くなると“クロスの嵐”を浴びる恐れも【女子W杯】

2023年08月10日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

最大のキーマンは…

スウェーデン戦では長野(右)のパフォーマンスが鍵か。長谷川(左)の負担を軽減したい。写真:GettyImages

 なでしこジャパンが女子ワールドカップの準々決勝で戦うスウェーデン代表は、多彩な攻撃を仕掛けている印象だ。なかでも相手の脅威に映るのがハイボール。今大会ここまでのスウェーデンのゴールを振り返ると、その大半がコーナーキック、もしくはクロスでゴール前に放り込まれたボールを背番号13のアマンダ・イレステトや背番号11のスティーナ・ブラックステニウスあたりが押し込む形が目立つ。

 守備もハイレベルで、決勝トーナメント1回戦では優勝候補のアメリカを相手に完封。この試合でスーパーセーブを連発した背番号1でGKのゼチラ・ムショビッチは文字通り好調で、なでしこジャパンにとっては厄介な存在だ。

 攻守にタレントが揃うスウェーデンとの試合、なでしこジャパンは決して引くべきではない。チームの重心が低くなれば"クロスの嵐"を浴びる恐れもあり、そのクロスを防いでもコーナーキックになる可能性がある。避けたいのはやはり、押し込まれる展開だ。

 ならば、である。なでしこジャパンは前から守備をハメにいく必要がある。おそらく4-2-3-1システムで戦うスウェーデンに対して日本が主導権を握るには、前線3人(CFとシャドーふたり)のプレスがひとつの鍵だろう。相手CB間でのパス回しに食いつき過ぎず、敵ボランチを隠す。そうしてパスコースをできるだけ消して、相手の次の一手を読みつつピンチのめを摘む。いわゆる組織的なディフェンスでスウェーデンの足を止めたい。

 スウェーデンがノルウェーのように引いてくるとは思えず、そう想定すると、なでしこジャパンはボールを奪ったあとにどう攻撃に転ずるか。それが当然ながら勝利へのポイントになる。
 そこで最大のキーマンに挙げたいのがボランチの長野だ。出し手にも受け手にもなれる柔軟性、試合の流れを的確に読める冷静さなどの持ち味を生かし、局面に応じて遅攻か速攻かを使い分けてほしい。長谷川と同じく相手の厳しいマークが予想されるが、その長野が抑え込まれるようだと厳しい戦いになる。長野には長谷川の負担を軽減しつつ、ゲームメイクする役割が求められるのだ。

 攻守の切り替えが激しい展開になりそうなスウェーデン戦。質の高いトランジションを実践できるか、その意味でも長野のパフォーマンスは重要になる。スウェーデンは前からのプレスも強烈。そのプレスを回避するうえで、長野がCBをサポートする働きも注目点になりそうだ。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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