エムバペは「頑なに残留」、パリSG会長は「安価でも売却」。“緊張の綱引き”で立場が弱いのはクラブ側だ。新天地本命のマドリーは警戒心【現地発】

2023年08月08日 エル・パイス紙

プレミアの2つのクラブがエムバペに興味

残留か、退団か。去就が注目されているエムバペ。(C)Getty Images

 パリSGとキリアン・エムバペの間で綱引きが続いている。アジアツアーのメンバーから除外するという決断もフリーで退団する意向を持っているエムバペへの圧力強化戦略の一環に他ならない。

 エムバペが契約延長を拒否した時点で、ナセル・アル・ケライフィ会長はエース抜きの新チームの構想を描いていかなければならないことを悟った。現時点でエムバペサイドは沈黙を守っているが、このクラブの決断を境に両者間の緊張がさらに高まったことは間違いない。

 クラブはエムバペをすでに移籍市場に売りに出している。もっとも、来年6月まで結んでいる契約を盾に拒否されれば、どうしようもない。周知の通り、フランス代表FWは残留希望を公言している。つまり最終的な決定権は選手側にあり、交渉に詳しい情報筋によると、追い込まれたアル・ケライフィは格安で売却することも厭わない姿勢だという。

 レアル・マドリーが2年前に2億ユーロの獲得オファーを提示したのは記憶に新しいが、売却額がその数字を下回ることになってもやむなしという判断だ。

【動画】日本では3試合欠場も...ネイマールが韓国で決めたキレキレのゴラッソ
 昨年5月に交わした契約が足かせになって、パリSGは非常に弱い立場に置かれている。一方、エムバペは少なくとも金銭面においては売却に応じるインセンティブはほとんどない。来年6月まで居座れば、8000万ユーロのロイヤリティ・ボーナスを手に入れることができるが、移籍した場合は、その権利を失ってしまう。

 また、フリーで加入した場合の移籍先のクラブから受け取る契約金の少なくとも一部をリスクに晒すことになる。パリSGはその額は1億2000万を上回ると値踏みしている。

 もちろんこうしたエムバペサイドの見積もりは、買い手クラブにとっては大きなハードルだ。パリSGに支払う移籍金に加えて、2億ユーロほどの補填が必要になる。現時点でパリSGは、少なくともプレミアの2つのクラブがエムバペに興味を示していることを把握している。

 しかも、相手はエムバペだ。1年前に急転直下で残留した経緯があるだけに、その行動は予測不可能という評価がすっかり定着した。そもそも、エムバペの希望はマドリー一本というのが共通の認識だ。そんな中、その2つを含めた他クラブが考えを変えさせるのは並大抵のことではない。

「韓国だけ出んのかよ」日本で3戦欠場のネイマール、隣国でキレキレの2G1Aに怒りの声!「舐められたな」「2点決めるコンディションなら出れたやろ」

次ページ母親のファイザ・ラマリへの信頼は完全に失墜

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事