待望の“名古屋復帰戦”を迎えた前田直輝。「全然ダメ」と悔いも発した熱い想い

2023年08月06日 本田健介(サッカーダイジェスト)

決定機を決め切れずも

名古屋での復帰戦を迎えた前田。熱い姿を見せた。金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第22節]名古屋1-0新潟/8月5日/国立競技場

 名古屋が新潟を1-0で下した国立でのゲーム、サポーターが待ち望んだであろう男が戻ってきた。オランダのユトレヒトからレンタルバックした前田直輝が"名古屋復帰戦"を飾ったのである。

 30.2度と19時になっても、なかなか気温が下がらないナイターゲームで、赤とオレンジのコントラストが美しいスタンドからの声援を受けた選手たちがピッチでは熱戦を繰り広げる。その傍ら、名古屋のベンチ脇で試合開始すぐにダッシュを繰り返す男がいた。

 熱い性格で知られる前田である。たぎる想いを抑えきれなかったのだろう。身体を動かし、いつ来るか分からぬチャンスに備える姿からは、この一戦への並々ならぬ想いが伝わってきた。

「皆さんの期待してくれる声は僕には届いていたので、そういう意味でも何かインパクトを残したいという気持ちは強かったです」

 長谷川健太監督から名前を呼ばれたのは1点リードで迎えた61分。疲弊した2トップ(キャスパーユンカーと永井謙佑)に代わる形で、同じく新戦力のFW中島大嘉とともにピッチに送り出された。役割は明確だった。先発したふたり同様に前からの守備を意識しながら、相手を引き離すゴールを奪うこと。大歓声とともに背番号25は国立のピッチへと駆け出した。
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 しかし「全然ダメです。チームの流れを全然変えられなかった」と、試合後には悔しそうな非常を浮かべる前田の姿があった。

「あの状況(名古屋が押し込まれる状況)になっても、例えば『頼む』とパスを付けてもらえて、状況を変えるのが僕の求められているところ。最後までプレッシャーにいき続けるとか、プレスバックし続けるところなど、もっともっとクオリティを上げないといけないと感じます。

 スタートから出ている謙佑くんとキャスパーに比べると全然物足りない部分はあるし、後半のほうが縦パスを入れやすかっただろうから、それは俺と中島選手は責任を感じなくてはいけないし、後ろに負担をかけているのは自分らなので、もっと突き詰めてやらなくてはいけないと思います」

 73分には中島のヘッドでのすらしから、相手の裏を取って決定機を迎えたが、シュートは枠を捉えきれず。

「あそこで決めなかったら、スタートの11人、ましてやメンバー入りの18人というところが難しくなってくる世界だと思うので、そこは自分にフォーカスしてもっとレベルアップしなくちゃいけません」

 それでも「残念がっている暇はないので次に向けてやらなくてはいけない」と力強く語る。

 オランダでは怪我に泣き、まだコンディションは完調ではないのだろう。それでも、その突破力、ゴールへの欲求など本来のプレーを示せれば、名古屋の大きな力になることは間違いない。今夏の市場で中軸のマテウスがサウジアラビアへ移籍したなか、13年ぶりのJ1制覇へのキーマンに前田がなることを願いたい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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