「高卒即プロは正直、高校生みたいなもの」黒田剛監督が日本のサッカー界で「少しずつ変えていきたい」こととは?

2023年08月06日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「ベテランと19歳や20歳はまったく違う」

プロと高校生の違いについても語ってくれた黒田監督。写真:塚本侃太(サッカーダイジェスト写真部)

 2023年7月、町田を率いる黒田剛監督が"母校"青森山田高を訪問した。自分の周りを囲む選手たちを見て、指揮官は「目がギラギラしていた」と思った。

「今年は(青森山田高)に良い素材が結構いて、プロを目指す選手もいる。彼らはプロになるために重要なこと、有効なことを求めている中で、迷いもあって、半信半疑で進んでいるところもあるから、おそらくJリーグで監督業をスタートさせた私の下で答え合わせをしたかった。

実際、それについての質疑が多かったので、率直な気持ちで『プロとはこういうものだ』と伝えたうえで、もっとやっておいてほしいこと、今のままでいいこと、そのあたりを整理して伝えました」

 高校生とプロ選手、改めて何が違うのか。今回のインタビューでそう訊かれた黒田監督は、「プロと言っても、高卒即プロは正直、高校生みたいなもの」と言って話し始めた。

「ベテランと呼ばれる選手と、19歳や20歳の選手とではまったく違う。もちろんプロである以上、ベテランだからみたいに考慮される事柄は特にないので、(年齢に関係なく)同じことを求められます。競争に勝たなければ試合に出られないし、チャンスも来ない。プロの世界では当たり前のことなので、そこはしっかりと19歳の選手にも40歳近い選手にも同じことを伝え、同じ競争をさせたいと思っています」
 
 「ただ」と、黒田監督は「成長過程の20歳前後の子たちは伸びる」と主張する。

「伸びる年頃でプロになって、成長を妨げてしまうケースはあります。もっと基本的なところに言及しないといけない年代、もっと鍛えられないといけない年代が90分くらいの緩い練習で終わって、それ以上伸びない。これは日本のサッカー界で往々にしてあることなので、そこはやっぱり少しずつ変えていきたいなと」

 長く高校年代で指導していたからこその見解だろう。もっとも、黒田監督も正解を見つけているわけではない。

「高校年代は2時半くらい、もうマックスでハードワークする。プロになってからの方が、練習でのインテンシティやハードワークは落ちてくる印象。だから、もっとやったほうがいいのか。または(高校年代よりも)試合数が多くなるからこんなものでいいのか。もう少し自分の中の物差しを広げていく必要があります」

 そんな黒田監督は「今季が終われば、プロとしての、指導者としてのベース作りを多分構築できていると思うので、今は色々とチャレンジしたいです」と意欲的な姿勢を示していた。

構成●サッカーダイジェストTV編集部

【動画】黒田監督が語るプロと高校生の違い
 

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