「人生的にもちょっと面白い」横浜FCの伊藤翔、35歳の充実感。改めて「サッカーが楽しい」

2023年07月28日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

若い時とは異なる感覚でプレー

実績十分の伊藤。35歳ベテランのさらなる奮起に注目だ。写真:鈴木颯太朗

 猛暑が続く7月某日。横浜FCの練習場で、伊藤翔は大粒の汗を流しながらトレーニングに励んでいた。ゲーム形式のメニューではキレのある動きを見せ、シュート練習では鋭い一撃でネットを揺らす。

 Jリーグは現在、中断期間。再開に向け、35歳FWのコンディションは良さそうだ。

 今季はここまで13試合に出場して1得点。先発よりベンチスタートのほうが多いが、ピッチに立てば熟練のプレーで攻撃を活性化させる。

 チームにとって欠かせない戦力は、気力も充実している。改めて「サッカーが楽しい」と口にする。

「若い時より、だんだん試合が分かってくるというか、サッカーがちょっとずつ分かってきた。こんな感じで試合が流れていくと、こういう感じになるなって」

 ただガムシャラにプレーしていた頃とは異なる感覚。傾向と事象を踏まえて、その先を読み、行動に移す。

「今のうちにここを埋めとかなきゃいけないな、ここはディフェンスに行ったほうがいいな、こっちから攻めたほうがいいな、とか。そういうのがだんだん分かってきた」
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 モチベーションはすこぶる高い。35歳という年齢を考えれば、「びっくりするぐらい衰えていくのも嫌」と少なからず危機感を覚えている。ただ「トレーニングも治療も、昔に比べたら全然新しくて、良いものがどんどん生まれてきている」だけに、コンディション作りもポジティブに取り組める。

 同世代が現役を退いていく一方で、今もJ1で戦い続ける伊藤はまだまだ意気軒高だ。「サッカーが楽しくなってきたなってことじゃないですか」と笑顔を見せる。

 プロ17年目。「選手としては、だいぶ引退が近づいている」かもしれないが、ベテランと呼ばれる領域に入ったからこそ、感じる部分がある。

「いざ歳を取ってくると、自分の見え方、捉え方もだんだん変わってくる。なんか人生的にもちょっと面白い」

 サッカーを存分に楽しんでいる。もちろん、ただ楽しむだけではなく、「プロはやっぱり結果がついてこないと」と表情を引き締める。

 21節終了時点で、横浜FCは3勝6分12敗の勝点15で16位。降格圏の18位・湘南ベルマーレとは勝点2差だ。熾烈な残留争いを勝ち抜くためにチームは邁進。経験豊富な伊藤にかかる期待は、決して小さくないはずだ。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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