2戦連続の首位撃破へ必勝を喫した神戸戦。2-2のドローを川崎の鬼木達監督はどう受け止めたのか

2023年07月23日 本田健介(サッカーダイジェスト)

前半は素晴らしい出来も後半に追いつかれる

神戸戦では勝利に導けず。それでも川崎の鬼木監督は前を向いた。写真:滝川敏之

[J1第16節]神戸2-2川崎/7月23日/ノエビアスタジアム神戸

 逆転優勝へ必勝を期した一戦だった。

 2戦続けての首位チームとの対戦。中位に位置しながら覇権奪回を目指す川崎にとって、連勝すれば逆転優勝へ弾みを付けられるチャンスであった。

 1週間前には首位の横浜を後半アディショナルタイムの劇的な決勝弾(1ー0)で下し、入れ替わるように再び首位に立った神戸との6月の台風2号の影響で順延になっていたアウェー戦に臨んだ。

「次の神戸戦がより重要になるという話はしています。神戸戦に、マリノス戦の勝ちをつなげていく。首位の相手はそう何度も戦えることではないですし、非常に重要になると思います」

 試合2日前、神戸戦の意味を訊けば、鬼木達監督は力強く想いを語ってくれていた。
 
 その指揮官の覚悟がチームに伝わったように、立ち上がりは素晴らしいパフォーマンスを見せた。神戸がロースタートだった影響もあっただろうが、リズミカルにパスをつなぎながら、タイミングを見て裏への長いフィードも併用。

 23分には高い位置でのボール奪取から、左サイドでチャンスを得ると、最後はペナルティエリア内右に流れてきたボールをMF脇坂泰斗が蹴り込んで先制。30分には左CKからファーサイドでMFジョアン・シミッチが折り返し、FW宮代大聖が頭で詰めた。

 守っては車屋紳太郎、高井幸大のCBコンビを軸に神戸のキーマンである大迫勇也らに力強く対応。前半は完全に川崎のゲームと言えただろう。

 しかし、後半、神戸が前に出てくると、相手の勢いをいなし切れずに、59分にはPKで、62分にはCKからヘッドで大迫に立て続けにゴールを許す。蹴局は2-2のドローでタイムアップを迎えた。

 見方によれば首位を相手にアウェーで貴重な勝点1を得たとも捉えられるのかもしれない。しかし、ここまですでに7敗を喫し、奇跡とも言える逆転優勝を目指す川崎にとっては悔いの残るゲームという感覚のほうが強いのだろう。

 試合後にこの勝点1の意味を訊いた鬼木監督も複雑な表情を浮かべていた。

「厳しい言い方をすれば、『1』ではいけなかったゲームだと思っています。ただスポーツで、相手のあることであって、勝負事なので、こうやって勝点1になってしまうこともあります。

 そういう意味ではそこをしっかり受け入れながら、ただ受け入れるんですが、この悔しさを本当に力強いバネにしていきたい。そういう想いはあります。

 なんて言うんでしょう...決して落ち込むような、ネガティブな戦いではありませんでした。ただ、勝つか負けるか、勝点『3』か『1』かというのは、隙を見せる、見せない、というところだと思うので、ここから夏場の戦いは続いていきますし、隙を見せずに隙をどんどん突いていけるようなマインドでやってきたいです」

「やり続ける」ことの重要性も強調していた鬼木監督。これで未消化試合はなくなり、残り13試合で首位の神戸とは勝点12差。8月12日には神戸とホームでの再戦も控えているなか、川崎はどんな追い上げを見せてくれるのか。ここ数年、リーグを席巻してきた彼らの意地を見たい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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