バケモノ級のフィジカル、盛り上げ役、ミツさんと高めたシュート技術。等々力初ゴールを決めた川崎の新ストライカー山田新の魅力

2023年07月09日 本田健介(サッカーダイジェスト)

有言実行の活躍

シュートを狙う山田。横浜FC戦では先制ゴールを奪い、勝利に貢献した。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第20節]川崎 3-0 横浜FC/7月8日/等々力陸上競技場

 直近のリーグ3試合は広島、浦和、名古屋に1勝1分1敗。前節はアウェーで名古屋に敗れた川崎にとって、ホームで勝利が欲しかった横浜FC戦では、待望のCFで先発を掴んだアカデミー出身、大卒1年目のFW山田新が躍動した。

 ルーキーシーズンの今季は、2節の鹿島戦で嬉しいプロ初ゴールを奪うなど、まずまずのスタートを切ったが、その後はサイド起用される試合や、出場機会が限られる日々を経験した。

 それでも6月18日のルヴァンカップ・湘南戦で劇的な逆転劇につながるゴールを挙げると、調子は目に見えるように上向いた。

「ゴールを取れる感覚はあります」

 横浜FC戦の前、力強くそう語っていた男は、ストライカーとしての感覚を取り戻しつつあったのだ。

「自信は練習でのゴールの積み重ねで持ってくるもの。プロで過ごしてみて、技術のところも、フィジカル的なところも慣れもありますし、安定してきたなと思います」

 横浜FC戦でのCFとしての先発は、まさに満を持して。その最大のチャンスを山田は生かしてみせた。

 13分、左SB登里享平のクロスに、ニアに飛び込むと、「当たったのは骨盤のあたり」と身体でボールを捉えるように押し込んだ。クロスからのシュートを何度も自主練習し続けた賜物だった。

 これが桐蔭横浜大での4年間を経て帰還した等々力での嬉しい初ゴールだ。

 36分には山田のアカデミー時代の同期、宮代大聖(アカデミーからトップ昇格)にもゴールが生まれ、アベック弾を挙げた面でも印象深いゲームになったと言えるのだろう。89分には瀬川祐輔のチーム3点目で横浜FCを突き放した川崎が、課題は残ったとはいえ快勝を収めている。
 
 まだ粗さは残るとはいえ、新ストライカーとして期待される山田の魅力は、猪突猛進にゴールへ向かう脚力にあるだろう。さらにプロに入って上半身がひと回り大きくなったというフィジカル能力も真骨頂だ。

 筋力トレーニングは学生時代から継続的に取り組み、今季アカデミーから昇格した後輩のMF大関友翔に言わせれば「バケモノ(笑)」と評せるほど、負荷の高いメニューを消化。日々、20キロの重りをつけての懸垂などをこなしているという。

 一方で「楽しいのが好き」と、恥ずかしながら盛り上げ役にもなっている様子。お立ち台でサポーターのコールを引き出す役割は今季何度もこなしており、ヒーローとなった横浜FC戦でもサポーターにいじられながら、会場を盛り上げた。

 さらに向上中のシュート技術は、「ミツさんに細かく指導してもらい、その成果」と戸田光洋コーチの存在も大きいようだ。

 練習場では、最後のひとりになるまでトレーニングに取り組む姿は珍しくなく、最後にゆっくりとグラウンドを周回するのが日課。練習後のジョグは頭を無にしたり、実戦へのイメージを膨らませたりしているという。

 そうした成果が徐々に結果に表われ始めている今、山田はストライカーとして新たな扉を開けようとしているのかもしれない。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)


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