「欧州に寄っていかなくてもいいのかな」“本場”を知る宮市亮がJリーグ活性化を考える「空席が目立つ試合も。まず文化を」

2023年07月04日 有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

「スタジアムをヨーロッパ仕様にしても、見に来る人がいなかったら盛り上がりもない」

欧州経験が豊富な宮市の目にJリーグはどう映るのか。写真:梅月智史

 シーズン移行にビッグクラブ構想――。Jリーグは今、サッカーの最先端である欧州を念頭に置いた取り組みをスタートさせようとしている。

 海外経験が豊富な宮市亮(横浜F・マリノス)が、ザンクトパウリ時代のサポーターに関する話の流れで、変化への率直な思いを明かしてくれた。

【PHOTO】キラリと光る笑顔が眩しい!鮮烈カムバック弾直後に敢行した宮市亮インタビュー

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――プロキャリアをスタートさせたアーセナルを皮切りに、様々なクラブでプレーしていますが、特にサポーターの圧を感じたスタジアムはありますか?

「圧と言えば、ザンクトパウリのスタジアムですね。暴動が起こっちゃうかなくらい。でも過激にも愛があるので。ハンブルクとダービーがある時とかは、本当にすごい。試合前に絶対発煙筒が投げられるので、早く試合が始まってくれみたいな。これがヨーロッパのサッカーだなとワクワクした部分はありますね」

――Jリーグをさらに盛り上げていくために、欧州仕様と言いますか、もっとアウェー感を出していくのも1つの手かなと思います。
 
「僕はあんまり欧州に寄っていかなくてもいいのかなと思います。海外から帰ってきて、日本はまず文化が違うなと。やっぱりサッカー文化は向こうよりは根付いてないので、まずそこを根付かせないといけない。スポーツとエンターテインメントでいくと、日本はエンターテインメントのほうが強いので。そこと融合して、もっとサッカーを、Jリーグを認知してもらう、そこからまず始めていかないと。

 ヨーロッパには追いついていかない…というより、別に追いついていく必要もないのかな。日本は日本の道を探して、JリーグはJリーグの良さっていう。結局、スタジアムをヨーロッパ仕様にしても、見に来る人がいなかったら盛り上がりもないので。まずはどんどん、どんどん歴史を築いていって、もうちょっと先かなと僕は思っています」

――ビッグクラブを生み出そうとする考えはどうですか?

「色んな意見はありますし、色々議論することで活性化していけばいいと思いますけど、向こうは本当に…なんだろうな、娯楽がサッカーしかなくて、スタジアムが埋まってないことはないので。やっぱり(日本では)空席が目立つ試合もありますし、まだそこまで根付いてないなと、日本に帰ってきて、正直なところ、思っています。

 まずはそこの認知度から。やっぱり日本は野球やエンターテインメント、アーティストや音楽と色々分散してしまうので、難しいところではありますけど…。色んな力を借りながら、サッカー界だけじゃなくて、色んな業界を巻き込んでいって、Jリーグに目を向けていって、日本独自の道を行ったらいいんじゃないかなと思います」

※第8回終了(全12回)

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

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