停滞ムードが続く鹿島。「力不足」と反省の弁の土居聖真が挙げた巻き返しのキーポイント「もう一度、整理したい」

2023年07月03日 小室功

「攻撃の質」と「一体感」がカギ

必勝を期して臨んだ京都戦はドロー。優勝を目ざす鹿島は、首位横浜と勝点13差の6位に甘んじる。写真:鈴木颯太朗

[J1第19節]鹿島 0-0 京都/7月1日/県立カシマサッカースタジアム

 こう着していたチーム状況を好転させたのは、58分からピッチに現われた土居聖真だった。

 1トップの鈴木優磨との距離を測りつつ、中間ポジションでボールを引き出し、味方を使い、味方に使われながら、攻撃を活性化させた。止めて、蹴って、スペースを見つけて走る。シンプルかつ正確なプレーの連続が相手守備陣をかく乱した。

「自分のところで、何度かチャンスを作ることができたので、ゴールにつなげたかったけれど、チームを勝たせるという(一番大事な)仕事ができなかった。そこは力不足でした」(土居)

 たとえば70分、ペナルティエリア内の右スペースに潜り込んだ土居が、右SBの常本佳吾からのスルーパスを受け、反転しながらワンタッチで折り返す。ニアサイドで待ち構えていた樋口雄太がシュートを放つ。相手DFの捨て身のブロックに遭い、惜しくも得点とはならなかったが、好機創出に一役買った。

 7月1日、鹿島のホームで迎えた第19節の京都戦は、立ち上がりからどこかチグハグさが漂い、5枚の交代策によって盛り返すことができたものの、最終的に勝点1を積み上げるのにとどまった。

 鹿島一筋、プロ13年目。アカデミー時代を含めれば、実に19年目を迎える生え抜き選手の土居だけに、たとえ自身のパフォーマンスが良くても、スコアレスドローに終わった試合に納得するようなマインドは、そもそもないのだろう。「力不足」という反省の弁を、いく度となく繰り返した。
 
 J1リーグはすでに後半戦に突入している。

 上位勢を追走しつつ、逆転優勝を目論む鹿島としては、負けられないどころか、引き分けさえも許されない状況が続く。

 リーグ4連敗のあと、クリーンシートによる5連勝を飾り、15位から4位まで急浮上したものの、直近の5試合は1勝3分1敗。そんな停滞ムードを一掃すべく、必勝を期して臨んだのが京都戦だった。

 前節のG大阪戦は1-2で敗れていたこともあり、スタメンを4人入れ替え、システムも4-4-2から4-2-3-1に変更するなど、岩政大樹監督は思いきった采配に打って出た。その主旨を、こう語っている。

「(知念慶や垣田裕暉など)怪我でFW陣が少ないなかで、4-4-2だけではなく、違う攻撃の形も作りたい。(総合的な観点からスタメンの入れ替えなど)ここが良いタイミングだと判断した」

 売り出し中の若きボランチ、佐野海舟の名がスタメンどころか、ベンチにもなかったのは軽い驚きだったが、それはともかく、今後に向けて一考の余地を残したと言えるだろう。

 J1リーグ通算312試合出場を数える土居は、巻き返しのキーポイントとして「攻撃の質」と「一体感」を挙げた。

「ここ数試合、ゴールに向っていく形があまり作れていないかなと感じるので、攻撃の質の向上が必要だし、みんなの意識がバラバラになってしまうのが一番良くない。それぞれがイメージしているプレーと、チームとしてやらなければいけないプレーのバランスというか、そこをもう一度、整理したい」

 夏本番を迎え、ますます厳しい戦いが予想される。90分間を通して、いかにゲームマネジメントしていくか。あらゆる面でのアップデートに取り組む鹿島の真価が問われる。

取材・文●小室功(オフィス・プリマベーラ)

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