アルシンドに孫より年下の娘が誕生。ビスマルクは代理人として国内外を飛び回る。Jリーグ創成期を支えたブラジル人選手のいま【現地発】

2023年06月29日 沢田啓明

慈善活動に取り組むドゥンガ

55歳の今年5月、再婚した相手との間に娘が誕生したアルシンド。(C)Getty Images

 1993年5月にJリーグが創設されてから30年。この間、数百人にも及ぶブラジル人選手がピッチに立ち、リーグの繁栄に多大な貢献を果たしてきた。
 
 Jリーグ創成期に活躍したブラジル人選手の多くは還暦前後。もちろん、彼らは現役を退き、そのほとんどが母国ブラジルで暮らしている。
 
 創成期を代表する一人と言えば、1991年から94年まで鹿島アントラーズを牽引したジーコだ。現在は鹿島のアドバイザーを務めていて、年に2回ほど来日する。ブラジルでは首都ブラジリアでプロチーム(州リーグ3部)を運営する傍ら、リオでフットボール・スクールのフランチャイズを展開中だ。
 
 95年後半から98年までジュビロ磐田で活躍したドゥンガは引退後、2004年まで磐田でアドバイザーを担い、その後、06年から10年までと14年から16年までブラジル代表の監督を務めた。現在は貧しい人々を支援する慈善活動に取り組んでいる。
 
 92年からの4年間をヴェルディ川崎(現ヴェルディ東京)で、96年からの3年間をコンサドーレ札幌でプレーしたCBのペレイラも、Jリーグにその名を刻んだブラジル人選手の一人。引退後はサンパウロの郊外で子供たちにフットボールを教えている。

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 そのペレイラのヴェルディ川崎時代のチームメイトで、鹿島(97~01年)やヴィッセル神戸(13年)でも活躍したビスマルクも、眩い輝きを放ったタレントだ。現在はサッカー選手の移籍を手掛ける代理人として、国内外を飛び回る。
 
 異色なのが鹿島(93~94年)やヴェルディ川崎(95年)、札幌(96年)でプレーし、印象深いゴールを量産したアルシンドだ。引退後はブラジル南部で大農場を経営。前妻との間に2人の孫を持つ身ながら9年前に再婚し、55歳の今年5月、その孫たちより年下の娘が誕生した。
 
 相変わらずダンディーなのはレオナルド。約2年間を過ごした鹿島で華麗なプレーを幾度となく披露したテクニシャンもすでに53歳だ。現役を退いたのが03年で、その後、ACミランやインテルで監督を務めた後、ミランやパリ・サンジェルマンでスポーツディレクターとして辣腕を振るった。現在は家族とともにイタリアで生活している。
 
 日本で躍動した男たちも中年から初老を迎え、それぞれの人生を送っている。
 
文●沢田啓明
 
【著者プロフィール】
1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。
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