日の丸で得た自信。首位チームに敗れた悔しさ。どちらにも真摯に向き合う広島GK大迫敬介は、これからも逞しく成長を続けていく

2023年06月26日 寺田弘幸

敵将も「素晴らしいセーブ」と称賛

広島は横浜に0-1敗戦。悔しい失点も、GK大迫は好守を連発。両軍の指揮官もその活躍ぶりを称えた。写真:滝川敏之

[J1第18節]広島 0-1 横浜/6月24日/エディオンスタジアム広島

「めっちゃ楽しかったです。僕の中では本当に大きな一歩になったと思います」

 日本代表の活動を終えてチームに戻ってきた大迫敬介が、こんなに朗らかな笑顔を浮かべたのは久しぶりだった。

 エルサルバドル戦でゴールマウスを守って無失点に抑える結果を残せたことはもちろん、3月の代表招集時よりも成長できた実感を得られて、「新しく中村(航輔)選手も呼ばれたGKグループの中でも、自分はぜんぜん劣っていないっていう自信がつきました」と話した大迫は、リーグ後半戦を見据えてこう語った。

「チームがなかなか良い流れに乗れないなかで、何かを変えないといけないと思っていますし、今は勝点ゼロか3かっていう試合が続いているので、勝点1を拾っていく泥臭さみたいなものも大事だと思う。もちろん勝点3を狙っていきますけど、まず自分が泥臭く戦っていきたいと思います」

 そして迎えた後半戦の初戦。首位の横浜をEスタに迎えた一戦で、大迫は際立つ存在感を放った。

 試合当日のミーティングでミヒャエル・スキッベ監督から[4-1-4-1]で臨むことを聞き、「4バックをするとはまったく思っていなかったのでビックリしました」と大迫は言うが、しっかりと試合展開を予想して試合に入っていく。

「この形に慣れるまで時間がかかると思っていた。時間が進むにつれて慣れていくだろうし、それまで上手くいかない時間が多くあることはみんなも分かっていたと思う」

 予想通りに前半は横浜が攻める時間が続き、広島はスキッベ監督のもとで培ってきた、主体的に攻守を展開して敵陣で相手に圧力をかけていくサッカーができなかったが、決してバタバタしなかった。

「もう割り切って失点ゼロで抑えよう」。最後尾を守る大迫が劣勢も受け入れて試合を進めていき、CBの佐々木翔と荒木隼人も集中して対応にあたっていく。
 
 だからこそ、30分に自軍でボールを失ってカウンターを受け先制を許してしまったことが悔やまれてならないが、後半はしっかりと切り替えて臨み、敵陣へ進出していった。

「後半はリスク管理をするというよりも、リスクを負って攻めていくことが大切だったので、カウンターは自分が防ぐって切り替えた」と大迫も前半とモードを変えてゴールを守っていく。75分以降はカウンターを受けて何度も決定的なピンチを迎えることになったが、ファインセーブを見せて望みをつないでいく。

「最後の15分は相手も選手交代で速い選手を入れてきたこともあって、カウンターを受けることになりました。敬介がそのうち2つを凄いセーブでしのぎました」(スキッベ監督)

「3回、4回ほど1対1の局面を作れたのですが、広島のGKも素晴らしいセーブをして防がれてしまいました」(ケヴィン・マスカット監督)

 試合後に両監督が言及したほど、大迫のパフォーマンスは試合に大きなインパクトを残したが、試合後の大迫に笑顔はなかった。0-1の敗戦を「どれだけ止めても勝点ゼロなら意味がない。あの失点を止めていれば勝点3に持っていけたと思うんで、そこが悔やまれます」と受け止めていた。

 日の丸をつけてゴールマウスを守って得た自信。好セーブを連発しながらチームを勝利に導けなかった悔しさ。どちらにも真摯に向き合う大迫は、これからも逞しく成長を続けていく。

取材・文●寺田弘幸(フリーライター)

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