【高校選手権】星稜 2-1 玉野光南|逆転弾を蹴り込んだシンデレラボーイ。大会前に急きょFWにコンバートされてレギュラーに登り詰めた加藤が、大会連覇への夢をつなぐ

2016年01月02日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

大会前の紅白戦で急にサイドバックからFWへコンバート。

前線で果敢な動きを見せた加藤(25番)。後半になっても運動量は落ちなかった。写真:早草紀子

 前半の13分に玉野光南の有吉に豪快なヘッドを叩き込まれた星稜だが、47分、大橋のCKから片山が決めて1-1に追いつくと、終盤の73分には大橋のスルーパスをきっかけにビッグチャンスを作る。

 そこで大仕事をやってのけたのが、本大会前にDFからFWにコンバートされた加藤だった。大橋とワンツーを決めた後、ゴール前に走り込んだ加藤は根来のパスをダフリながらも右足でねじ込んだ。

「自分はこの3年間、チームに迷惑をかけてきた。なにも結果として残せていなかった。だから、(決勝ゴールを決めた直後は)個人的に嬉しい気持ちと、やっとチームに貢献できた気持ちが入り混じった感じでした」

 続けて「もしちゃんと右足に当たっていたら入っていなかったかもしれない。ダフったおかげでGKのタイミングを外せて、ラッキーでした。ある意味、自分らしいゴールかな」と笑顔で話す加藤が、レギュラーとして継続的に使われ始めたのは昨年の12月からだったそうだ。

「2年生の時は左右のサイドバックで、『FWをやれ』と言われたのは全国大会のメンバー発表のちょっと前でした」

 紅白戦をしていると、急に河﨑監督に呼ばれた。「監督に怒られることが多いので、またなにかやってしまったのかなあ」と思っていた加藤は、そこで「FWをやってみろ」と告げられたのだ。まさかのコンバートだったが、本人に焦りはなかった。

「サイドバックをやっていた時から攻撃は好きでした。ボールをちょこちょこ持ったり、前に飛び出したりして。監督が練習中に全体を止めてFWに『こういう動きをしろ』と指示しているのを見ていたので、なんとなくどう動けばいいかは分かっていました」

 このコンバートの理由を、河﨑監督は次のように述べた。

「選手権の県予選では2トップになかなかボールが収まらなかった。全国モードになると前から追いかけないといけない。そこで、貪欲に追いかけられるプレーヤーは誰かと探していたら、加藤が練習で一番良い動きをしていた。12月に入ってから、ほぼレギュラーでしたね。12月にやった7試合ぐらいにフル出場させました」

 

次ページ大会連覇を目指すうえで、加藤の存在はひとつの鍵になるか。

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