【高校選手権】各務原 1-0 佐賀北|ようやく決めた会心のヘッド! 悔しさを味わい続けたDFリーダーが初戦突破を手繰り寄せる

2015年12月31日 本田健介(サッカーダイジェスト)

「ヘディングで勝てなかったら自分のいる意味がない」

CKから決勝弾を決めた森。守備面でも空中戦の強さが光った。写真:浦 正弘

「ようやく決められました。それも全国の舞台で奪えて気持ち良かったです。自分の得点で勝てて本当に良かった」
 
 佐賀北との1回戦で勝利の立役者となった森俊太は満面の笑みで試合を振り返った。
 
 身長183センチ、立ち幅跳びでは学年1位の記録を持つCBは「うちの大きな武器」(梅野剛監督)と、セットプレーではターゲットマンとなる。
 
 しかし目立つ存在だったために県予選では厳しいマークに遭った。奪えたゴールは1回戦で挙げた1ゴールのみ。だからこそ全国の舞台、そして0-0の均衡のなかで奪えた会心のゴールに大きな喜びを感じたのだろう。
 
 森の決勝弾を正確なCKで演出した和田遼馬も「森がようやく取ってくれました。このゴールはチームの勢いにもつながります」と笑顔で話す。
 
「ヘディングで勝てなかったら自分のいる意味がない」。
 
 そう強く語る森は3年間、自らの持ち味の強化に努めてきたという。
 
「空中戦ではどんな形でも勝てるように練習してきました。具体的なトレーニングではボールを上から吊るしてヘッドの反復練習をしました。あとは岩政選手が眉間でヘッドをするというのを聞いて、それも意識するようにしました」
 
 1年生時にはベンチに入れず、2年生時にはトップ下にコンバートされたが、県予選で敗退した。さらに今年のゴールデンウィークには腓骨を骨折し、インターハイ予選には間に合わず。数々の悔しさを経験したからこそ、本職のCBで臨める最後の全国大会には強い想い入れがあるのだろう。
 
 目標はベスト8――。
 
 実現への鍵となるのは、やはりセットプレーでの空中戦だ。

「セットプレーはうちの武器で、僕がマークを引き連れればほかが空く。相手をかく乱させたい」と森は語る。
 
 この日も佐賀北の攻撃に苦しみながら、森を中心とした粘り強い守備で凌ぎ、得意のセットプレーで試合を決めた。チームで180センチを超えるのは森のみで、運動量豊富な右SBの黒木雄太郎に関しては155センチと、高さで劣る部分がある。だからこそ、その存在は重要になる。
 
 各務原のこれまでの最高成績は2回戦進出。その歴史を変えるためにもディフェンスリーダーの躍動が不可欠だ。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
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